手と指の痛み・痺れ

手と指の痛み・痺れはよくある症状です。症状の特徴によって、どの病気かを推測することが可能です。 早めの受診で病気を鑑別して、適切な治療により悪化を食い止め、症状の改善を図りましょう。


■主な症状

起こる部位、関節の状態、症状の特徴などを知る

手と指の痛み・痺れを起こす病気には様々なものがありますが、特徴的な症状から病気を推測できることがあります。 症状を軽視して放っておくと、悪化して手や指の動きが悪くなったり、関節が破壊されたりして、生活の質が低下してしまうこともあります。

●症状と病気

手と指の痛み・痺れがある場合、どんな病気が起こっていると推測できるのか、3人の女性の例を見てみましょう。

  • ▼Aさん(55歳)は、物をつかんだ時に指の関節が痛みます。関節は変形して固く、太くなっています。
  • ▼Bさん(60歳)は、親指が曲げにくく、無理に曲げると戻らなくなる時があります。 強い力を入れて戻そうとすると、”カクン”と指が跳ねるようになり、痛み・腫れもあります。
  • ▼Cさん(58歳)は、親指から薬指の半分にかけて、指先にジンジンするような痺れがあります。 特に明け方に症状が強くなります。

症状と病気

3人には、「手や指の痛みがある」「同じような年齢である」「性別は3人とも女性である」という共通点がありますが、 それぞれ別の病気が原因と考えられます。 症状の特徴から、Aさんは変形性関節症、Bさんは腱鞘炎、Cさんは手根管症候群の可能性が高いと考えられます。 ここでは、これら3つの病気について解説します。


●病気の原因

これらの病気はさまざまな原因で起こります。加齢、手や指の使い過ぎが原因になることもありますが、 更年期以降の女性に多く見られることから、発症には女性ホルモンのバランスの乱れが間接的に影響しているのではないかと考えられています。 また、糖尿病、甲状腺の病気がある人、透析療法を受けている人などに、起こりやすいとされています。 発症年齢では、変形関節症は50歳以上に多く、高齢になるほど発症率が増加しています。 一方、腱鞘炎と手根管症候群は、40〜60歳に発症のピークがあります。


■手の構造と起こりやすい病気

関節の変形、腱鞘の炎症、神経の圧迫などが起こる

手の構造と起こりやすい病気@ 手の構造と起こりやすい病気A


●骨と関節

手と指は27個の小さな骨によって形作られています。また、手と指は多くの関節が連なっています。 関節の骨と骨の間には、軟骨や靭帯があり、関節を構成しています。 加齢や指の使い過ぎによって、「靭帯が緩む」「軟骨が磨り減る」「骨同士がぶつかる」などが起こるのが変形性関節症です。 変形性膝関節症は、親指から小指までの第一関節と第二関節、親指の第三関節(CM関節)。 変形性関節症の特徴的な初期症状は、「朝のこわばり感」「痛み」で、特に親指の第三関節に起こると、ドアノブを握るときに痛んだり、 痛くてペットボトルのふたを開けられないなどの症状が現れます。 Aさんは、痛みのほか、指の関節に変形があることから、変形性関節症が疑われます。

●腱と腱鞘

手には、前腕の筋肉から伸びている腱があり、手のひら側と手の甲側それぞれに、手首から指先まで通っています。 腱は、筋肉と骨を結び付ける丈夫な組織で、密集しているさまざまな筋肉が手指の骨や関節を動かすのを仲介しています。 腱は、腱鞘という鞘のような組織によって覆われています。腱鞘には2種類があります。 一つは腱を覆っている滑膜性腱鞘で、潤滑油のような働きのある滑液が、腱の動きを滑らかにします。 もう一つは腱が浮き上がらないようにする靭帯性腱鞘で、ベルトで止めるように腱を押さえています。 腱鞘炎は、靭帯性腱鞘が何らかの原因で厚くなったり硬くなったりして、腱の通りが悪くなり、腱と腱鞘がこすれあって炎症が起こるものです。 痛みを伴うこともあれば伴わないこともあります。 腱鞘炎はすべての指に起こる可能性がありますが、特に起こりやすいのが親指です。 また、腱鞘炎にはいくつかの種類がありますが、そのうちの一つ、ばね指では、曲がった指を伸ばそうとするときに”カクン”と跳ねるように伸びます。 関節では、親指の第一関節、それ以外の指では第二関節によく起こります。 Bさんは、特徴的な症状から、ばね指が疑われます。


●神経

手や指を支配する主な神経は、正中神経、橈骨神経、尺骨神経です。中でも正中神経は、親指、人差し指、中指、薬指の親指側の動きを司る神経で、 手の動きにとって重要な神経といえます。 正中神経は、手のひらの付け根に近いところで、トンネル状の手根管を通っています。 手根管は靭帯や骨に囲まれており、正中神経のほか、複数の腱が通っています。 指の使い過ぎなどが原因で、腱を覆っている膜が炎症を起こして腫れると、正中神経が圧迫され、痺れを感じます。これが手根管症候群です。 手根管症候群の症状の特徴は、親指、人差し指、中指、薬指の半分(親指側)の指先にジンジンするような痺れが現れ、感覚が鈍くなることです。 薬指の小指側と小指は、尺骨神経が支配しているため、手根管症候群の症状は現れません。 また、夜間の手の動きが影響して「明け方に症状が強くなる」、理由はわかりませんが「手を振ると楽になる」、 親指の付け根の筋肉が衰えて「洋服のボタンがかけにくい」などの症状も特徴的です。 Cさんは、これらの特徴的な症状から、手根管症候群が疑われます。

●受診して診断を受ける

手と指の痛み・痺れは、ここに紹介した病気以外にも、頚椎や胸椎に変性が生じたり、神経が圧迫されて起こる場合や、脳梗塞で起こる場合があります。 痛みや痺れなどの症状があるときは、早めに整形外科を受診し、診断を受けるようにしましょう。 自分の病気が何なのかを知り、適切な治療につなげることが大切です。