超睡眠法第2章『こんなときに使えるピークシフト』①徹夜が必要な人のピークシフト

ピークシフトは日勤のサラリーマンにしか役立たないものではなく、3交代、夜型など不規則な勤務シフトの方にも役立つものです。
第2章では勤務シフトに合わせたピークシフト、さらには勉強・スポーツ・時差ボケ解消など、
さまざまな用途に対応したピークシフトを解説していきます。


■徹夜が必要な人のピークシフト

90分ごとに目を閉じて調整する

◆眠くなくても目を閉じる作業を怠らない

仕事の関係上、夜型で働く方も少なくないと思います。また、昼型でも、忙しいときは徹夜で作業しなければならない時もあります。 ここでは、そんな方々のためのピークシフトを紹介していきます。

徹夜作業でやりがちなのが、眠くなるまでずっと突っ走ろうとすることです。 しかし、それでは途中でガクッと眠くなり、何の収穫もない徹夜になる恐れもあります。 そこで眠気を防止するには、90分ごとに目を閉じるのがおススメです。 例えば、20時から作業を開始するのであれば、20時、21時30分、23時、0時30分、2時、3時30分とリズムを刻むように目を閉じます。 このとき大事なのは、全然眠気がない時間からこの作業をしていくことです。 なぜ、90分かというと、人間の行動はさまざまな場面で約90分のサイクルを有しているからです。 集中して作業する限界は約90分なので、目を閉じる周期がこれ以上だと、あまり効果はありません。 夜の初めの時間帯は眠くないので、目を閉じる作業を怠ってしまいがちです。 コンスタントに目を閉じる作業を挟むことでダメージが軽減されるので、眠くなってから目を閉じる作業を始めると、 長く眠くってだるくなってしまいます。

◆徹夜時のパフォーマンスは昼間の時間帯には及ばない

徹夜した時にありがちなのが、一晩働き続けたことで「仕事が進んだ」と勘違いすることです。 これは、夜中は時間がゆっくり進んでいるような感じがするからです。 脳の働きが鈍くなり、自分の心拍リズムを感じる能力が低下しているせいで、時間が長く感じられるのです。 徹夜してすごく頑張っても、作業に要した時間と達成した度合いを考えれば、パフォーマンスは昼間よりも確実に悪くなります。 また終電などの時間の制約が無くなるので、ついダラダラと作業しがちです。 目を閉じる時間は1分から10分程度が最適です。また、閉じる前に「10分後に目を覚ます」とあらかじめ頭の中で唱えましょう。 朝4時くらいになると避けられない眠気が襲ってきます。この時間帯の対処法が、徹夜明けのパフォーマンスを左右するので、 次項目から学んでいきましょう。

【夜型の人は自分のリズムを大切に】

夜型で仕事をする人は、自分なりの起床時刻を決めて、仕事中は自分のリズムを意識して行動すると、 体にかかる負担も少なくなります。一般のリズムで過ごしている人に合わせすぎると、疲れがたまりやすくなるので注意が必要です。


●徹夜明けに行っておくべきこと

無理に早寝すると逆効果に

◆徹夜明けに発生しやすいヒューマンエラー

徹夜作業でも必ず休んでおくべき時間帯が、朝4時ごろです。この時間は睡眠-覚醒リズム、深部体温リズム共に 一番眠気が強くなりやすく、作業効率も著しく低下しがちです。そのため、この時間帯だけは一時作業を止め、 少なくとも15分から30分は休んでおくことで、翌日のダメージを軽減できます。 そして徹夜明けの日は、朝は体温が低いので、なるべく温かいものを飲んで体温を上げておきます。 また、徹夜明けだと午前中はある程度元気でも、午後にテンションが落ちて急激な眠気や仕事の精度が低下することが見られます。 なるべく午前中からこまめに目を閉じて、先手を打って眠気を解消しておきましょう。 ここで徹夜時に気をつけたいのが、頭頂葉の活動低下で引き起こされる「ヒューマンエラー」です。 徹夜をすると頭頂葉に代わって前頭葉の活動が盛んになりますが、この部位は過去の経験則に基づいて判断するので、 事実確認を怠ってミスが発生しやすくなるのです。また徹夜の回数が増えると、脳が意図することと違う行動に出る 「アクションスリップ」の発生も多くなります。仮に徹夜続きになっても、余裕のある時に1日5分だけでも早寝するなど、 少しでも時間を見つけるようにし、こまめに睡眠時間の絶対量を増やしていきましょう。

◆運転前には1分ほど目を閉じておく

徹夜明けで車を運転するときは、必ず運転前に1分ほど目を閉じておきましょう。 運転の最初の頃はいろいろと操作するので脳は覚醒しますが、走行を始めて15分くらい経つと、急に眠気が襲ってくるからです。 そのまま運転すると事故のリスクが大きくなって危険なので、これは必ず心掛けておくべきです。 そして「昨日は徹夜したから、今日は早く寝よう」と考えがちですが、それは大きな間違いです。 そもそも生体リズムはいつもの起床時間によって決まっているので、徹夜したからと早寝しようとしても、 なかなか寝付けなくて結局寝床で長時間過ごすことになり、その日以降も寝付きにくくなることがあります。 これが一番まずいパターンです。私たちの脳は、連続して覚醒している時間が長ければ長いほど、その後の睡眠は質が向上します。 「早く寝ないと」と寝床でグルグル考えてしまわずに、自然に眠くなったら寝床に入ってみましょう。

【徹夜後も生体リズムは崩さない】

徹夜をするときに重要なのが、生体リズムを崩さないこと。徹夜を機にリズムが崩れると、その後の仕事にも支障を来してしまいます。 最低体温の時間に少しでも眠る、徹夜明けは自然に眠くなる時間に眠る、起床時間だけはずらさないなどで、 リズムだけはなるべく守っていきましょう。