超睡眠法第2章『こんなときに使えるピークシフト』
④不規則な勤務体系で睡眠を整えるピークシフト

不規則な勤務体系で睡眠を整えるコツは「生体リズムを崩さないようにする」ことです。


■不規則な勤務体系で睡眠を整えるピークシフト

◆後ろにずれていくシフトが理想の勤務体系

最近は勤務時間の種類も多様化し、自分にあった時間に出勤するフレックス勤務や、医師や看護師、介護職など 24時間体制で業務に携わる3交代勤務といったシステムがあります。看護師を例に挙げると通常の日勤のほか、 準夜勤(夕勤)と深夜勤の3交代制をとっており、間に休日があるというシステムになっています。 通常であれば寝ているはずの時間帯に働き、起きているはずの時間帯に寝る。 こんな生活を繰り返すので、慣れないと仕事中に眠気や倦怠感に襲われ、仕事の質が低下する恐れがあります。 さらに生体リズムが乱れるだけでなく、ひどい場合はうつ病などの病気に見舞われることもあります。 こうした交代勤務で働く場合、勤務時間は夜勤→準夜勤→日勤と前倒しするより、日勤→準夜勤→夜勤と後ろにずらしていく方が ダメージを軽減できるからです。自分でシフトを決められるときは、この流れの勤務体系にしておきましょう。


◆夜勤後は光を避けて脳を覚醒させない

不規則な勤務体系でも、自分の生体リズムを崩さないようにするのが一番大事です。 特に午前4時台は睡眠-覚醒リズム、深部体温リズム共に最低になる時間帯なので、しっかり休んでおく必要があります。 勤務中でも、休憩時間があれば5分間だけ目を閉じるなど、とにかく脳を休めるように心掛けておきましょう。 起床から6時間後のタイミングでいったん目を閉じ、11時間後の深部体温が最も高まる時間帯には眠らないなど、 普通の日の生体リズムと同じスタイルで1日を過ごします。 夜勤が終わるころには当然朝を迎えますが、帰宅時にはサングラスなどを着用し、光を見ないようにします。 強い朝日には脳を覚醒する作用があり、帰宅後なかなか眠れなくなってしまうからです。 睡眠時は遮光カーテンなどで日光を遮り、寝室を暗くして休みます。 ここで寝不足になると、その後の勤務に支障を来すので要注意です。 そして休日はなるべく日勤と同じリズムで生活します。朝は光をしっかり見て覚醒し、暗いまま過ごさないようにしましょう。 もし睡眠が足りない場合は、一度部屋を明るくしてから二度寝をしてください。

【勤務中のヒューマンエラーに注意!】

勤務体系が不規則だと勤務中に睡魔が襲い掛かり、不用意なミスを犯す危険性もあります。 休憩中の室内を暗くするなど、眠りやすい環境を整えておきましょう。 また仕事をする場所は逆に室内を明るくして、脳を覚醒させないこと。


■時差があっても生体リズムを崩さない

◆光と体温で生体リズムを調節する

例2の現地到着後の対策:成田11時10分発~ニューヨーク11時5分(同日)着(フライト12時間55分)
成田を発ち、ニューヨークに着いたら現地時間で14時頃までサングラス、もしくはパソコン用メガネをかけて、 光を見ないようにします。そして14時を過ぎたら積極的に日に当たります。 また現地に着くと「とりあえず食事をしよう」と思いがちですが、最初の食事はぐっとこらえて控えめにします。 これは前の食事との間隔があいた後の食事量が、生体リズムに影響を及ぼすからです。 長期で滞在するときは、到着して4日間は午前中の光を避け、午後の半ばから夜の早い時間にかけて光を見ます。 4日経つとリズムは前進するので、今度は午前中から光を見るようにします。 これにより、リズムの後退を防ぐことができます。

◆生活が不規則でも午前4時台は寝ておく

例2の帰国時の対策:ニューヨーク11時発~成田13時55分(翌日)着(フライト13時55分)
帰国の便では、まず飛行機に乗ったら睡眠を取ります。最初の機内食はできれば取って置き、その後3時間ほど眠ったら、 はりきって機内食を食べますが、その次の機内食はほどほどにしておきましょう。 そして離陸から約8時間後のタイミングで30分ほど仮眠し、起きたらお尻を締めて体温を上げる運動をします。 到着後、日本時間19時以降はなるべく光が当たらない環境で過ごし、自然な眠気を誘いこみます。 夜間にある程度眠れれば、時差ボケのダメージも少なくなります。 海外出張が多い方、外資系企業の方は日本に居ながら海外の時間に合わせて仕事をすることが多いのですが、 昼は日本時間に合わせ、夜は欧米時間に合わせるので生活は不規則になり、睡眠時間も短くなりがちです。 日本に居ながら海外時間に合わせて仕事をすることは大変です。こうなると睡眠のリズムも崩れてしまいがちですが、 これを防ぐには体温が下がる午前4時台に少しでも寝ておくなど、生体リズムをずらさない心がけが重要です。 また、不規則な生活でも、少なくとも週3日は朝4時から5時までは眠りましょう。 これによって内的脱同調(生体リズム相互間で起こるズレ)の発生をある程度防げます。

【飛行機内ではお尻を締めて体温を上げる】

体温を上げる際、ふだんなら軽いストレッチなどをしますが、狭い飛行機の中でやるのはさすがに厳しいものがあります。 そこでお尻をキュッと締めると、座っていながら体温を上げることができます。 睡眠リズムの調整には大変効果的です。