心筋梗塞のサインの肩こり

左肩から背中にかけてのコリや痛みは心筋梗塞の前触れで、胃のむかつきもあれば要注意です。


■心筋梗塞

胃薬を飲んでも治らない

左の肩から背中にかけて、コリ痛みが現れたなら要注意。 それは、脳梗塞と並んで死亡率の高い、心筋梗塞の発作を起こす前触れかもしれません。 心筋梗塞は、心臓に栄養と酸素を供給する血管(冠状動脈)が、狭まったり詰まったりすることで始まります。 心筋(心臓を形成する筋肉)への血流が著しく低下した結果、心筋が壊死(組織の一部が死滅すること)してしまう、 とても恐ろしい病気です。心筋梗塞の場合は、突然、胸の真ん中辺りを中心として、 胸板の後ろ側が強く締め付けられるように痛みます。強い胸痛が現れるのは、心筋が酸素不足に陥ったためです。 程度の軽い狭心症でも同様の痛みが現れますが、通常、5~10分以内に治まります。 ところが心筋梗塞では、もっと強烈な胸痛が起こるため、その場にうずくまらずにはいられません。 そして30~50%は死に至るといわれています。

心筋梗塞の発作を予知するのは非常に難しいのですが、全く手がかりがないわけではありません。 その貴重な手がかりの一つが、左肩だけに現れるコリや痛みなのです。 実際に、心筋梗塞や狭心症の患者さんを対象とした聞き取り調査の結果、発作を起こす1週間~数ヶ月前から、 動悸・息切れ・胸痛に加えて、左肩のコリや左手の痛みなどを感じていた人が多いという報告があります。

心筋梗塞や狭心症といった心臓の異常で、左肩にコリや痛みが現れるのには理由があります。 それは、脊髄の中で、心臓の働きをつかさどる神経が、左の肩・腕・手の知覚神経と同じ場所を通っているためです。 つまり心臓の異常が、左半身の体表面の異常と混同されてしまうのです。 左肩から背中にかけての部分にコリ・痛み・重だるさといった違和感があり、それに伴って左手の小指までしびれたり 痛んだりする場合は、近いうちに狭心症や心筋梗塞の発作を起こす危険性が大きいと考えられます。 こうした肩こりのほか、動悸・息切れ・めまい・胃のむかつきや吐き気、みぞおちがグッと締め付けられて狭まるような 痛みなどを感じる場合もあるので注意して下さい。 中でも、気をつけたいのは胃のむかつきやみぞおち周辺の痛みです。 これらは左肩や背中のコリ・痛みと一緒に現れることが多く、立っていられないほどの激しい症状です。 この場合、胃に問題があるわけではないので、胃薬を飲んでも痛みが治まらないのが特徴です。

以上のように、ありふれた症状と軽視されがちな肩こりの中にも、命取りになるような心筋梗塞の発作を知らせる前触れに なるものもあります。もしも胃のむかつきを伴う左肩のコリを自覚したなら、必ず病院で検査を受けてください。 早期の発見・治療こそ、突然死を防ぐ最良の方法です。

【関連項目】: 『狭心症・心筋梗塞』