肩こりの治療法『低出力レーザー治療』

自力で治すことのできない、痛みを伴う重い首と肩のこりには『低出力レーザー治療』が有効です。


■首こりや肩こりの治療法

首こりや肩こりの治療法は多彩

「首こりと肩こり」は、主に筋肉の硬直が原因となるケースと、背骨などの異常が神経を圧迫して起こるケースの 2つに分けられます。筋肉の硬直が原因となる肩こりは、姿勢を正したり、マッサージや運動をしたりすれば 改善できますが、そのまま放置すると重症化して、ひどい痛みを伴う場合があります。 また、骨の異常が原因の首こり・肩こりは、骨の老化による変形のほか、交通事故や手術の後遺症などでも起こります。 そのため、自宅でできるような治療法では、なかなか回復は望めません。 こうしたことから、重い首こりや肩こりは、できるだけ早く病医院を受診して、医師の指導の元で治療した方が いいでしょう。

首こりや肩こりの治療法には、さまざまなものがありますが、整形外科で行われているのは、「温熱療法」「牽引療法」です。 温熱療法は、患部を温める治療法で、血流やリンパの流れを促し、筋肉のこりをほぐすと同時に老廃物まで除去します。 赤外線や極超短波を照射したり、ホットパックを使ったりして患部を温めます。 牽引療法は、変形性頸椎症や頸椎椎間板症など、首の骨の異常からくる首や肩のこりに効果があります。 この治療法は、後頭部からあごの下を吊り革で固定し、機械でゆっくりと上に引っ張ります。 すると、首の骨の不安定性が解消したり首の硬直がほぐれたりして、こりがよくなります。 なお、仕事の都合でたびたび病院に行けない人の場合は、鎮痛薬で症状を取るのも一つの方法です。 ちなみに、病院のペインクリニック科では「神経ブロック療法」という治療法も行われています。 神経ブロック療法とは、痛みを伝えている神経を麻酔薬の注射で遮断する方法です。

最近では、こうした治療法のほかに、『低出力レーザー治療』も広く行われるようになってきました。 低出力レーザー治療とは、専用の機械を使って人体に害のない弱いレーザー光線を患部に当てて、血流を促し痛みを取るものです。


■PTTレーザー治療

反射区にレーザーを照射する新療法

「PTTレーザー治療」は、低出力レーザー治療の一種で、レーザー光線を患部ではなく、 手や足にある「反射区」と呼ばれる部分に照射します。 反射区とは、筋肉や内臓の状態が反映される手先や足先の体表部のことです。 反射区は、古くからヨーロッパで行われてきた足裏刺激の健康法である「ゾーン・セラピー」 の考え方に基づくもので、この部分に加わった刺激は、それぞれ対応する筋肉や内臓にも伝わり、 こりや痛みを除去することができるとされています。 東洋医学の「ツボ」と似ていますが、刺激する場所は完全には一致していません。 PTTレーザー治療は、首こり・肩こりの場合は、手指の根元の関節(MP関節という)に分布している複数の反射区に、 レーザーを数十秒ずつ照射していきます。治療中に痛みや熱さはありません。 なぜ反射区にレーザーを照射することで、痛みが消えるのか、その詳しい仕組みについては十分には解明されていません。


●その場で痛みが和らぎ、可動域が広かる

PTTレーザー治療を行うと、その場で肩の痛みが軽減したり、可動域が広がったりする人がたくさんいます。 ある臨床試験結果では、PTTレーザー治療を行った78人中、「非常に効果があった」とする人が13人、 「効果があった」が50人、「効果がなかった」が15人というように、約8割の人に効果があったと報告されています。 ただし、低血圧症の人は、副交感神経が刺激されて血圧が下がりすぎてしまう恐れがあるため、 PTTレーザー治療を行うときには注意が必要です。さらに、強度の自律神経失調症の人も、ちょっとした刺激で 過呼吸や手足の痺れなどの症状を起こす可能性があるので、治療の適用外になります。

PTTレーザー治療は首こり・肩こり以外にも、膝痛・腰痛・股関節痛などにも有効です。 健康保険も適用されるので、そのほかの治療と同時に受けても問題ありません。