肩が痛い!こうして改善『3つのタイプを知ろう』

肩関節は周辺の3つの関節と連動し、筋肉や腱、腱板に支えられています。 肩の痛みの主な原因は「五十肩(肩関節周囲炎)」「石灰沈着性肩関節周囲炎」「肩腱板断裂」の3つです。 同じような痛みの症状が現れても、対処法を誤ると、痛みが長引いたり、悪化する危険性があります。 3つの病気は症状が共通しているため、自己診断せずに受診が必要です。


■3つのタイプを知ろう

●肩関節は上腕骨と肩甲骨から成り、周辺の関節と連動する

「肩関節」とは、主に背中側に位置する「肩甲骨」と二の腕の骨である「上腕骨」から成る関節を指します。 上腕骨の先端(上腕骨頭)は、肩甲骨の浅いくぼみにはまっています。 例えるなら、おちょこにソフトボールが乗っているような不安定な状態です。 肩関節の周辺には、「肩鎖関節」や「胸鎖関節」「肩甲骨胸郭関節」もあり、複雑な構造をしています。 そして、肩関節を含めた4つの関節が運動することでさまざまな動きが可能になっています。 また、肩関節の周辺には、筋肉のほか、骨と骨をつなぐ「靭帯」や筋肉と骨をつなぐ「腱」が複雑に入り交っています。 さらに「肩峰」と「鳥口突起」をつなぐ靭帯がアーチを作り、その下を「棘上筋腱」が通っています。 上腕骨頭と肩甲骨は「腱板」という4つの板状の腱でつながっており、棘上筋腱はその一つです。 腱板は、肩関節の安定に寄与しており、肩の動きによっては大きな負担がかかる部位です。 例えば、腕を上げるとき、腱板も一緒に持ち上げられるので、肩が動くことによって腱板が前述のアーチに圧迫されるため、 その動作を繰り返していると、やがて腱板が痛んできます。


■肩関節の構造

主に上腕骨と肩甲骨から成り、周辺の関節と連動している

肩の痛みに悩まされている人は非常に多くいます。肩の痛みを改善するには、肩がどのような構造になっているかを 知っておくことが大切です。正しい知識を持つことで、どのような対処法が適切なのかが十分に理解できます。 「肩関節」とは、主に背中側に位置する「肩甲骨」と二の腕の骨である「上腕骨」から成る関節を指します。 上腕骨の先端は、肩甲骨の浅いくぼみにはまっています。たとえるなら、おちょこにソフトボールが乗っているような状態で、 非常に不安定です。 肩関節の周辺には、肩甲骨と鎖骨から成る「肩鎖関節」、胸骨と鎖骨から成る「胸鎖関節、 肩甲骨と背中側の肋骨から成る「肩甲胸郭関節」という関節もあり、大変複雑な構造をしています。 そして、肩関節を含めた4つの関節が連動することで、肩や腕はさまざまな働きが可能になっています。 例えば、腕を上げるときは、肩関節だけでなく、健康胸郭関節も連動して動いているのです。

●靭帯や腱などが肩関節を安定させる

肩関節の周辺には、筋肉のほか、骨と骨をつなぐ「靭帯」や、筋肉と骨をつなぐ「腱」が複雑に交わっています。 さらに「肩峰」「烏口突起」をつなぐ靭帯がトンネルを作り、その中をくぐるような形で、 「腱板」という板状の腱が、上腕骨と肩甲骨をつないでいます。 肩関節の周辺にはそのほかにも3つの腱板があり、それらによって肩関節は安定しています。 腱板は、肩の動きによって、大きな負担がかかる部位でもあります。 例えば、腕を上げるとき、「三角筋」という上腕の大きな筋肉が収縮して、腱板も一緒に持ち上げられるので、 腱板が圧迫されます。そのため、腕を上げる動作を繰り返していると、やがて腱板が傷んできます


■肩の痛みの原因

●肩の痛みは、主に3つの原因で起こる

肩の痛みの主な原因は次の3つです。

▼五十肩(肩関節周囲炎)
もっともよく見られる肩の病気です。肩関節は、「関節包」という袋状の組織で覆われています。 また、腱板の周辺には、「滑液包」という組織があります。 活液胞の中は、腱板が滑らかに動くための潤滑油の役割をする「活液」で満たされています。 五十肩が起こる原因はよくわかっていませんが、関節包や活液胞に炎症が起き、肩関節やの周辺が癒着するため、 腕を動かすときなどに痛みが生じると考えられています。 50代に多いため、このように呼ばれていますが、実際には30~70代までの、幅広い年代で発症します。

▼石灰沈着性肩関節周囲炎
五十肩と同様に、肩関節の周辺に炎症が起こる病気ですが、炎症の原因が異なります。 石灰沈着性肩関節周囲炎では、肩関節の周辺、特に頻度の高い場所である腱板に石灰(カルシウム)が沈着することで、炎症が起こります。 石灰がたまる原因はよくわかっていませんが、腱板などに石灰がたまると、 体内で異物を排除しようとする反応が起こるため、炎症が生じ、非常に強い痛みが現れます。 40~50代に発症しやすく、特に女性に多く見られます。

▼肩腱板断裂
肩関節の腱板が断裂し、炎症が起こって痛みが現れる病気です。断裂といっても、実際には、穴が開いた状態です。 靴下が擦り切れて孔が開くのと同じように、肩の使い過ぎで腱板が傷ついて孔が開いてしまいます。 60歳代から多くなり、加齢とともに発症頻度が高くなります。重い荷物を持つ仕事をしている人や、 喫煙者に発症しやすい傾向があり、利き腕の肩に起こりやすいとされています。

◆3つの病気で共通する症状とは?

前述の3つの病気ではいずれも、「突然激しく痛む」「腕の外側がいたむ」「腕を動かすと痛む」「夜眠れないほど痛む」といった症状が現れます。 しかし、症状は同じでも痛みの原因は異なるため、対処法もそれぞれ違います。 対処法を誤ると、痛みが長引いたり、悪化する危険性があります。そのため、”五十肩だろう”などと、自己判断せずに、 医療機関を受診してください。どのような病気が原因で肩が痛むのか、正しい診断を受けることが大切です。


■痛みの原因を調べるには

視診で左右の肩を比べたり、触診で肩を動かしたりする

●医療機関では、まず視診や触診が行われる

まず行われるのは、「視診」と「触診」です。例えば、肩腱板断裂の場合、視診で左右の肩を見比べると、筋肉のつき方などに 左右差があることがわかります。また、触診の際に、腱板の上腕骨頭付着部に痛み(圧痛)が生じます。 五十肩では、医師が患者さんの腕を上げようとすると痛みが生じますが、肩腱板断裂では痛みがありません。 こうした痛みの特徴も、診断の参考になります。 さらに、必要に応じて画像検査も行われます。石灰沈着性肩関節周囲炎が疑われるときは、エックス線検査が有効です。 この病気の場合は、石灰の沈着が認められます。肩腱板断裂が疑われる場合は、MRI検査が効果的です。 腱板の状態を画像で確認できます。


●画像検査が有効なこともある

必要に応じて、画像検査も行われます。石灰沈着性肩関節周囲炎が疑われるときは、エックス線検査が有効です。 この病気の場合は、石灰の沈着が認められます。肩腱板断裂が疑われる場合はMRI(磁気共鳴画像)検査が効果的です。 腱板の状態を画像で確認できます。