骨粗鬆症の検査・診断

多くの自治体では、50歳、55歳など、主に節目の年齢の女性を対象に骨量を測定する骨粗鬆症検診が実施されています。 女性の場合は、更年期に差し掛かる頃から、積極的に検診などを受けて骨量を測定することが勧められます。 また、「腰が曲がる」など何らかの症状がある場合にも、検査を受けるようにしましょう。 骨粗鬆症の診断や治療は、整形外科、婦人科、内科、骨粗鬆症外来などで行なわれています。


■骨粗鬆症の検査・診断

エックス線などで骨量を測定し、若い世代の平均値と比べる

骨粗鬆症かどうかは、まず骨の量(骨密度)を測定して調べます。 測定法には、背骨や太ももの骨(大腿骨)にエックス線を照射する「DAX法」、 手首など抹消の骨に照射する「pQCT法」、手の骨に照射する「MD法」、 超音波をかかとの骨に当てる「超音波法」などがあります。 20~40歳の人の平均と比べ、骨密度が70%未満の場合、また、80%未満でも背骨などに骨折が認められる場合に「骨粗鬆症」と判断されます。


●骨粗鬆症の検査

骨粗鬆症の検査には、次のようなものがあります。

▼骨量(骨密度)の測定
手やかかとなどの骨にエックス線や超音波を照射し、骨量を測定します。

▼エックス線検査
エックス線写真を撮影し、背骨の圧迫骨折の有無などを調べます。

▼骨代謝マーカー
尿や血液には、骨が破壊される過程や作られる過程で、さまざまな成分が放出されます。 これらを「骨代謝マーカー」といい、その値を尿検査や血液検査で測定して、骨代謝のバランスを調べます。

◆骨量(骨密度)の測定法

▼MD法
両手をエックス線撮影し測定します。台の上に両手を置くだけの簡便な検査法で、検診などでよく行なわれます。

▼超音波法
かかとの骨に超音波を当てて測定します。台の上にかかとを置くだけの簡便な検査法で検診などでよく行なわれます。、

▼pQCT法
専用の小型CT装置で手首など末梢の骨を撮影します。 検診の他、骨代謝の異常を来たす病気の精密検査として行なわれます。

▼DXA法(デキサ法)
大腿骨や腰椎に2種類のエックス線を照射し骨量を測定する「デキサ法」という検査で全身の骨の測定が可能で、 骨粗鬆症の診断に重要なあることがわかります。正確な診断に適しています。 これによって太腿の付け根や腰椎の「骨密度」がわかり、その値で骨粗鬆症かどうかがわかります。 人生において骨密度が一番高い20~44歳の骨密度を100%として、骨密度が80%以上あれば正常で、 70~80%は骨粗鬆症予備軍、70%以下は骨粗鬆症と診断されます。 デキサ法は10分程度の簡単な検査です。女性の場合、閉経後は1年に1度くらい検査するとよいでしょう。

骨量(骨密度)の測定以外には、「エックス線検査」「身長測定」「血液・尿検査」などが行われます。 エックス線検査では、背骨の圧迫骨折の有無を調べます。 また、身長測定の結果が、最も身長が高かったころより2~4cm低くなっていれば、背骨の圧迫骨折が疑われます。 血液・尿検査では、破骨細胞と骨芽細胞の働きの状態を調べる「骨代謝マーカー」も測定します。 これらの検査を総合的に行うことで、骨粗鬆症の有無や重症度だけでなく、骨粗鬆症を招くほかの病気の有無などがわかります。 高齢者で注意が必要な「癌の骨転移」との鑑別にも役立ちます。

なお、何らかの病気が原因で、骨粗鬆症が起こったり、骨粗鬆症と同じような症状が起こることがあります。 骨粗鬆症が疑われる場合には、同時にそれらの病気の有無を調べることも大切です。 そのため、診断に際しては、これまでの病歴の確認や診察が行なわれたり、必要に応じて、鑑別のための尿検査や血液検査が行なわれることもあります。

<<骨量の低下を招く病気>>

骨量の低下を招く病気には、甲状腺の病気、 関節リュウマチ、肝臓の病気などさまざまなものがあります。 まれに、悪性腫瘍が骨に転移して骨量が低下することもあります。 また、腰などの痛みは、骨粗鬆症の他、腰椎の椎間板が変性する 椎間板ヘルニアや、 脊髄が通っている脊柱管が狭くなる脊柱管狭窄症などにより、 神経が障害を受けて起こることがあります。


●骨粗鬆症の診断

骨量や骨折の有無で診断

「若年成人の平均値(YAM)」の骨量を100%とし、80%以上の人は健康、70%未満は骨粗鬆症と診断されます。 また、70%以上80%未満で、骨が弱くなって骨折した場合も、骨粗鬆症と診断されます。 骨粗鬆症と診断された場合には、薬物療法が行なわれます。 YAM70%以上80%未満で骨折がなく、骨粗鬆症と診断されない場合でも、骨折の危険性が高いと判断されると、薬物療法を始めることが必要とされます。