骨粗鬆症治療の薬(薬物療法)

骨粗鬆症の治療に用いられるには「骨の破壊を抑える作用の薬」と「骨を作る働きを助ける薬」があり、 骨を作る働きを助ける薬には、「骨を作る働きを助ける薬」と「骨代謝のバランスを整える薬」があります。 現在、標準的治療に用いられている薬は、骨吸収を抑制するビスホスネート製剤とSERMです。 そのほか、強力に骨密度を上昇させる新しい作用の注射薬や、主に骨を作るのに必要な栄養素を補充する目的で使われる薬があります。


■骨粗鬆症治療の薬物療法

中心は骨の破壊を抑える薬。自分に適した薬を選ぶことが大切。

「骨粗鬆症の治療薬」には、さまざまな種類があります。 「骨粗鬆症の治療と予防ガイドライン2006年版」では、これまで蓄積された研究データをもとに、 効果や副作用などを含めて、骨量増加と骨折予防の観点から薬を総合評価し、「A」「B」「C」の3段階で示しています。 最近では、「ビスフォスフォネート製剤」など、骨の破壊を抑える作用の新しい薬が使われるようになり、選択の幅が広がっています。


■薬物療法の開始

「脆弱性骨折」の有無や、骨密度(骨量)などから決められる

骨粗鬆症の治療の柱になるのは薬物療法です。骨密度以外に、骨折のリスクなども考慮しながら、治療が行われます。 まず、女性では閉経後、男性では50歳以降に、些細な負荷がかかるだけで骨折してしまう「脆弱性骨折」が 大腿骨の付け根や背骨に起こったかどうかを調べます。これらの骨折経験のある場合は骨折を繰り返すリスクが高いため、 骨密度とは関係なく骨粗鬆症と診断され、ただちに薬物療法が開始されます。
大腿骨の付け根や背骨の脆弱性骨折の経験がない場合は、「YAM(若年性腎の骨密度の平均値)」を基準にして、 薬物療法を開始するかどうかが決められます。検査で調べた骨密度がYAMの80%以上に当たる場合は正常ですが、 70%未満だった場合は骨粗鬆症と診断され、薬物療法が行われます。 骨密度がYAMの70%以上80%未満の場合は、次の3つの条件のうち1つでも当てはまれば、薬物療法を開始します。

▼大腿骨の付け根や背骨以外の脆弱性骨折がある
手首や肩などに脆弱性骨折がある場合は薬物療法が行われます。

▼大腿骨の付け根を骨折した親がいる
親が大腿骨の付け根を骨折していると、大腿骨の付け根の骨折のリスクが2.3倍になるというデータがあります。 こうした家族歴がある場合も薬物療法が行われます。

▼FRAXが15%以上である
FRAXとは、今後10年間で骨折が起こる確率を評価できるものです。FRAXの数値が15%以上だった場合も、 薬物療法を開始します。


■以前使われていた薬

現在ではあまり使われなくなった薬もあります。

●イソフラボン誘導体

「イプリフラボン」という薬があり、骨吸収を抑制する働きを持つとされていますが、 作用の仕組みはよくわかっていません。穏やかな薬で副作用もほとんどないので、 使い続けている人もいますが、最近はあまり処方されなくなっています。

●たんぱく同化ステロイド製剤

骨形成を促進する作用があるとされて、古くから使われていた薬です。 ただ、副作用で肝機能障害を起こしやすく、含まれている男性ホルモンにより、 多毛、脱毛などが起こることがあるため、最近ではあまり用いられなくなっています。


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