痛風予防のための『生活改善』

痛風』を予防するには、 「プリン体の多い食品を控えればよい」と考える人は多いと思いますが、原因はそれだけではありません。 尿酸値を上げる原因を知り、生活習慣を改善していきましょう。 高尿酸血症の原因にもなる”肥満”を防いだり、筋トレなどの”激しい運動”は控えて、有酸素運動を行ったりしましょう。


■尿酸値を下げるには①

高尿酸血症の原因にもなる”肥満”を防ぐ

日常生活において尿酸値を上げる原因は主に5つあります。これらに気を付けて生活改善を行うことが大切です。
1つめの原因は、肥満です。
血液中の尿酸が腎臓で処理されるとき、9割は再吸収されて血液に戻り、1割が尿と共に体外に出ていきます。 この尿酸の再吸収に影響しているのが、血糖値を下げる働きをしているインスリンというホルモンです。 肥満によって内臓脂肪が増えるとインスリンの働きが低下し、それを補おうとしてインスリンの分泌量が増えます。 すると腎臓での尿酸の再吸収がより促進され、血液中の尿酸が増えて尿酸値が上がり、高尿酸血症を引き起こすのです。 実際に、BMIが高いほど、また内臓脂肪が多いほど、高尿酸血症になりやすいことがわかっています。 特に男性の肥満は、女性と異なり、皮下脂肪よりも内臓脂肪が増えるタイプが多いため、より注意が必要です。 内臓脂肪の増加によるインスリンの働きの低下は、尿酸だけでなくナトリウムの再吸収にも影響するため、高血圧も引き起こします。 肥満、高尿酸血症、高血圧が揃うと、狭心症心筋梗塞にもつながる恐れがあります。 痛風だけでなく、それらの病気を防ぐためにも、肥満の解消、特に内臓脂肪を減らすことが大切です。


■尿酸値を下げるには②

筋トレなどの”激しい運動”は控えて、有酸素運動を

肥満の解消」のためには、運動が欠かせません。 ただし、”激しい運動”はプリン体を増やす原因になるため、注意が必要です。 運動をする際には、体内のATOという物質がエネルギーとして使われて分解され、また合成される、ということを繰り返しています。 ところが激しい運動を行うと、ATPの分解がどんどん進む一方で、合成が追い付かなくなります。 ATPにはプリン体が含まれており、分解が進むと血液中にプリン体が増えていきます。 その結果、プリン体の老廃物である尿酸も増えてしまいます。 これに加えて激しい運動では、乳酸が溜まることにより尿酸が排泄されにくくなり、尿酸が増えます。 ”激しい運動”とは、いわゆる無酸素運動のことです。 無酸素運動とは、短距離走のように息を止めて力を発揮する運動や、会話をしながらでは行えないような運動のことです。 尿酸値の高い人は、そのような運動は避けるようにしましょう。 進められるのは軽いジョギングやウォーキングなどの有酸素運動です。 会話できる程度の強度で行い、軽く汗ばむ程度に抑えるのが効果的です。 目安として、1日30分以上のウォーキングを、できれば毎日、少なくとも週4日は行うことをお勧めします。


■尿酸値を下げるには③

アルコールや甘いものを摂り過ぎない

●アルコール

プリン体が多い飲み物といえば、「ビール」を思い浮かべる人も多いでしょう。 確かにビールにはプリン体が多く含まれますが、ビールに限らずアルコール飲料自体に尿酸値を上げる働きがあります。 肝臓でアルコールが分解される際にはATPが使われます。ATPが分解されることでプリン体が増え、結果として体内の尿酸が増えてしまうのです。 さらに、アルコールが分解されるときに、激しい運動と同じように乳酸ができます。 この2つの仕組みによって、アルコール飲料を飲むと尿酸値が上がってしまうのです。 尿酸値の高い人は、アルコールを摂り過ぎないように心がけることが大切です。 ただし、1日の適量を守り、週1~2日はお酒を飲まない”休肝日”を設ければ、それほど気にしなくてもよい場合が多いです。 お酒と一緒に摂るつまみにはプリン体が多く含まれているものも多いので、こちらにも気を付けましょう。

●果糖

甘いものに含まれる果糖も、やはり肝臓で分解されるときにATPが使われるので、摂り過ぎないようにしましょう。 気を付けたいのが、ジュースや清涼飲料水などの飲み物です。 これらは、食品に比べると意識されにくく、水分補給などの目的で気軽に飲んだり、ペットボトル1本を飲み切ってしまうようなことも少なくありません。 成分表示を確認して果糖を含むものは飲み過ぎない、水やお茶など甘みのないもので水分補給をする、などするとよいでしょう。


■尿酸値を下げるには④

"プリン体を多く含む食品”を知り、食事の仕方を工夫する

痛風や高尿酸血症のある人は、プリン体の摂取量を1日400mg以下に抑えることが大切です。 そのためには、ふだん食べる食品に含まれるプリン体の量を知っておき(下図参照)、摂り過ぎないように工夫して食べるようにしましょう。 プリン体は表にあげた食品以外にも含まれています。そのため、おかずやご飯などを食べると気が付かないうちに1日100mgを超えてしまうこともあります。 プリン体の多い食品だけに気を付けるのではなく、食事全体で考え、プリン体を300mg程度以上含む食品は、日常的に多く摂ることは控えるようにしましょう。 それ以外の食品については、肥満やアルコール、甘いものなど、全体的な対象に注意しながら、1日当たりの適量を考えて食べるのであれば問題ないでしょう。 プリン体を多く含む食品も、茹でる・蒸す・煮るなどの調理を工夫し、茹で汁や煮汁は飲まないようにすれば、プリン体の摂取量を減らすことができます。

●痛風の発症を抑える効果が期待される食品

ある調査によって、果物、コーヒー、乳製品(低脂肪がよい)、には、痛風の発症を抑える効果があることがわかっています。 ただし、果物には果糖が含まれているので、摂り過ぎないよう気を付けてください。

●夏に向けての注意点

暑い時期には水分が失われることによって尿量が減り、尿酸の排泄量が少なくなりがちです。 お茶や水などでこまめに水分補給を行うようにしてください。 同じ理由で、暑い時期の激しい運動は避けるようにしましょう。


プリン体を多く含む食品