緊張型頭痛

慢性頭痛の中で最も多いのが、緊張型頭痛です。日本では約2000万人いると推計されています。 「頭全体が締め付けられるように痛む」のが緊張型頭痛の特徴です。ただし、頭の一部がチクチクと痛むこともあります。 痛みは、両側の場合も片側の場合もあり、数時間で治まることも1日中続くこともあります。 日常生活に支障が生じることはありますが、寝込むほどのことはありません。 緊張型頭痛は、慢性頭痛の約6割を占めるといわれていますが、そのほとんどは、本来、薬を使わずに解消できるものです。 緊張型頭痛を解消するには、まずは生活習慣を見直しましょう。それでも症状が改善しない場合は、薬による治療を行います。


■緊張型頭痛とは?

頭や首、肩、背中の筋肉のコリや張りが関係している

緊張型頭痛の痛みの起こる仕組みは、首や頭を支える「僧帽筋」に負担がかかると、 頭部の「後頭筋群」「側頭筋群」などの筋肉が収縮して血流が悪くなり、頭から背中にかけての筋肉のコリや張ることによって、 痛みを感じる神経が刺激されることで、頭痛が起こると考えられています。 その原因の多くは、生活習慣が関係しています。 「首や肩の筋肉疲労」や「精神的ストレス」など、心身のストレスが主な原因とされ、 「目が疲れたとき」「肩こりがするとき」などに起こりやすいタイプの頭痛です。 例えば、デスクワークや車の運転などで同じ姿勢を長時間とり続けると、首や背中の筋肉に負担がかかり、 さらに、頭の筋肉まで収縮して血流が悪化し、痛みが生じます。
また、仕事上のトラブルや人間関係の問題など、精神的なストレスのため、痛みの感じ方を調節する脳の働きが乱れ、痛みを感じやすくなることもあります。


■緊張型頭痛の症状

頭の両側が締め付けられるような頭痛が起こる

緊張型頭痛は、片頭痛ほどなじみはありませんが、大変多くの人が悩まされている病気です。 緊張型頭痛は、片頭痛とと比較すると、次のような特徴があります。

  • ▼片頭痛が、その名の通り片側が痛むことが多いのに対し、緊張型頭痛は頭全体が痛みます。
  • ▼片頭痛では、ズキンズキンと脈を打つような強い痛みが出ますが、緊張型頭痛では、圧迫または頭が締め付けられるような鈍い痛みがダラダラと続きます。
  • ▼我慢できるほどの痛みや、仕事や家事などを何とかできる程度の痛みがします。
  • ▼痛みの継続時間は個人差が大きく、20分程度のこともあれば、7日間も続く場合もあります。 頻度も月に1回程度の人もいれば、痛みのある日が15日以上ある人もいます。
  • ▼片頭痛で起こるような吐き気はなく、体を動かしても、症状の悪化はありません。そのため、病気を認識しにくい傾向があります。

緊張型頭痛の持続時間には個人差があり、痛みの持続時間の長短に関わらず、頻繁に起こるようになると大きなストレスとなります。 その結果、日常生活に様々な支障を来し、生活の質を大きく損ない続けるので注意しましょう。


■緊張型頭痛の原因

頭から肩にかけての筋肉の凝りや張りなどが原因

頭から肩にかけては、側頭筋後頸筋僧帽筋などの筋肉があり、重い頭を支えています。 緊張型頭痛は、これら筋肉の緊張、つまり凝りや張りが原因です。緊張した筋肉が、痛みを感じる神経を刺激して、頭痛を感じます。 凝りや張りの原因は、長時間同じ姿勢をとることです。特によくないのが、うつむく姿勢です。 例えば、パソコンに向かって長時間仕事をしたり、長時間自動車の運転をしたりすると、頭から肩にかけての筋肉が異常に緊張してしまいがちです。 また、かつては、こうした筋肉の緊張だけが原因と考えられていました。 しかし、現在では、緊張型頭痛をよく起こしたり、長く続く場合、不安うつなども関係していることがわかっています。 精神的ストレスが加わると、脳での痛みの感じ方が過敏になるためと考えられます。

▼長時間の同じ姿勢
同じ部分の筋肉を使い続けるため、筋肉が疲労しやすくなり、コリや張りが起こります。 長時間同じ姿勢でいることから、夕方や仕事の終わりごろに頭痛が起こりがちです。

▼悪い姿勢
姿勢のバランスがよくないことで、頭から肩にかけての筋肉に負荷が集中し、筋肉が疲労しやすくなります。 なで肩の人も肩こりが多く、緊張型頭痛が起こりやすい傾向があります。

▼不適切な枕
枕が高過ぎたり低過ぎたりすると、首の神経が圧迫されて、周辺の筋肉にコリや張りが出ます。

▼運動不足
筋力が低下すると、首や肩などに負荷がかかりやすくなります。

これらの生活習慣を見直しても緊張型頭痛が改善しない場合は、精神的ストレスが関係している可能性があります。 精神的ストレスが加わると、脳などの中枢神経の痛みの感じ方が過敏になり、緊張型頭痛が長引くと考えられます。