かかりつけ薬局・薬剤師

・薬局や薬剤師から、薬や健康に関するアドバイスを受けることができる。
・「かかりつけ薬局・薬剤師」を持つと、薬に関するトラブルを防ぎやすい。
・薬の服用歴やアレルギーなどは、「お薬手帳」で管理する


■かかりつけ薬局・薬剤師

薬のチェックや健康管理に役立つ

薬は、病気の治療に使われたり、不快な症状を緩和させるために欠かせない存在です。 しかし、使い方を間違えると十分な効果が得られないこともあるので、薬の使い方、効き目や副作用などについて よく知っておくおことが大切です。自分で薬に関する知識を身につける必要もありますが、薬と上手に付き合うために 活用したいのが、薬局と薬剤師です。特に「かかりつけ薬局・薬剤師」を持つと、 薬についても詳しい情報が得られるだけでなく、健康管理まで含めた相談をすることもできます。


●薬局・薬剤師の役割

受診後、患者さんは、医師から受け取った「処方箋」を持って薬局へ行きます。薬剤師は、処方箋に基づき、薬を調剤して 患者さんに提供しますが、その際に、薬の飲み方や副作用などについての説明も行います。 また、患者さんの要望があれば、健康にかかわる様々な相談に応じることも行っています。 医療機関を受診するたびにその近くにる薬局を利用する人もいますが、できればかかりつけ薬局を持つことが勧められます。 受診している医療機関のすべての処方箋を1ヵ所に集めることで、自分が服用している薬の記録を管理してもらえるからです。 かかりつけ薬局では、薬の飲み合わせだけでなく、薬が重複して処方されていないかどうかや、服用する量や回数に至るまで、 細かくチェックします。必要があれば、その場で医師に確認し、薬を変更するなどして、トラブルを未然に防ぐ役割も果たします。 かかりつけ薬局の中でも、自分が相談しやすい薬剤師を見つけておくと、持病なども含めて幅広く把握してもらえ、 健康管理に役立ちます。


●薬に関する悩み

薬を正しく飲むために、注意したい3つのこと

薬局では、患者さんの薬に関する悩みについてもアドバイスを行っています。実際に寄せられる相談で多いのは、 「薬の飲み方」「薬の飲み違い」「薬の飲み忘れ」という3つです。薬の治療効果を妨げないためにも、 この3つに気を付け、正しく服用できるようにしておくことが大切です。

◆薬の飲み方

「薬が飲みにくい」と相談された場合には、例えば、ゼリー剤などを使って飲みやすくする方法をアドバイスします。 薬が大きくて飲みにくい場合には、同じ効果を持つ小さいサイズの薬や、口の中で溶けて飲みやすい錠剤に変更できる場合もあります。

◆薬の飲み間違い

病気を治療するために多種類の薬を服用している場合には、薬を飲み間違える危険性が高くなります。 例えば夜に飲む薬を間違えて朝に飲んだ場合、朝に飲むほかの薬との飲み合わせが悪くて、副作用が強く出たり、 逆に薬の効果が弱まったりする場合があります。飲み違いをなくすために、医師の指示により、1回に服用する薬を 1つの袋にまとめる「一包化」で対応する場合があります。

◆薬の飲み忘れ

薬を服用していると、飲み忘れたり、既に飲んでいるのに再び飲んでしまうこともあります。 そのような場合には、薬を飲むタイミングがわかるような市販の「薬カレンダー」を利用する方法があります。 薬カレンダーにはいろいろな形状があります。例えば1日を朝・昼・夕・寝る前に分けたポケットがあるカレンダーの場合、 その時に飲む薬をそれぞれのポケットにまとめて入れて使います。薬が残っている場合は飲み忘れたことがわかり、 逆に薬がなくなっている場合は、飲んだことが一目でわかります。薬局で薬を受け取ってきたら、 自分自身や家族がきちんと分けて入れておきましょう。


●お薬手帳の活用

薬の服用歴から体質まで一冊に記録する

現在、日本で医師から処方される薬の種類は、約2万品目といわれています。 そのため、すべての薬を1つの薬局でそろえておくことは難しく、かかりつけ薬局を利用したときに在庫がない場合には、 卸業者から取り寄せたり、近くの薬局に連絡をして譲り受けたりして対処します。 しかし薬がすぐに必要で、別の薬局にいったり、医療機関に近い薬局を利用する場合などには、 「お薬手帳」を活用すると、かかりつけ薬局で保管している記録と同様の情報を提示することができます。 お薬手帳は薬局や医療機関で入手でき、飲み薬から目薬、貼り薬まで、自分が使っている薬の情報を記録します。 薬局では、情報を薬剤師が記入したり、シールにして貼ることもあります。薬の服用歴は、医師が薬を処方するときの参考にしたり、 初めて訪れた薬局でも、飲み合せの悪い薬や重複を避けることができます。お薬手帳には、食べ物や薬のアレルギー、 常用しているサプリメントなどについても自身で記入しておきましょう。

◆お薬手帳の使い方

自分の服用歴やアレルギー歴などを網羅するため、また、複数の医療機関で処方された薬が一目でわかるように、 お薬手帳は1冊にまとめておくことが大切です。薬局ごとにお薬手帳をもらって、何冊も持つことは避けましょう。 そして、医療機関を受診する際や薬局には必ず持っていきましょう。薬局で市販薬や健康食品などを購入する場合でも、 お薬手帳があれば、薬剤師に飲み合わせなどをチェックしてもらえます。また、自宅では置き場所を決め、外出する際には 常に携帯するようにしましょう。万が一事故や災害にあったり、持病が急に悪化した場合でも、お薬手帳を見た医師や薬剤師は 迅速かつ適切に対応することができます。かかりつけ薬局は、いわば”健康に関する相談所”であり、かかりつけ薬剤師は ”健康アドバイザー”といえます。かかりつけ薬局・薬剤師を持ち、お薬手帳を活用して薬と上手に付き合ったください。