【質問】「脂質異常症」の治療薬の副作用が心配です

「脂質異常症」と診断されて17年になります。 昨年9月の検診では総コレステロール値233mg/dL、HDLコレステロール値65mg/dL、 LDLコレステロール値154mg/dLでした。コレステロール値を下げる薬を長期間飲み続けているので、副作用が心配です。
●70歳代・女性
●使用中の薬はリバロ1mg夕食後1錠


【答】

「脂質異常症」は、血液の脂質であるLDLコレステロール値が高い場合、HDLコレステロール値が低い場合、またはトリグリセリド(中性脂肪)値が高い場合をいいます。 脂質異常症に伴いいくつかの病気を起こしやすくなります。 その中で最も注意を要するのは、動脈硬化が進み生じる 「心筋梗塞」や「狭心症」といった心臓の病気です。 これらは、LDLコレステロール値が高くなるほど起こりやすくなります。各国の学会から診断や治療の基準が発表されており、 日本では140mg/dL以上が「高LDLコレステロール血症」と診断され、心臓などの病気を予防するため何らかの対策や治療を考えることが推奨されています。 その際に大切なことは、患者さんの動脈硬化の起こしやすさを総合的(年齢、生活習慣、血圧など)に評価してコレステロール治療を考えることです。

お手紙を拝見すると、お知らせいただいた健診結果では、薬を服用していない場合の総コレステロール値は300mg/dL(LDLコレステロール値230mg/dL)以上と考えられます。 このことから、ご質問者の場合の心臓病のなりやすさはカテゴリーⅡに入ると推定されます。 このカテゴリーの方は生活習慣の改善を行った後に薬物療法の適用を考慮することが勧められ、LDLコレステロール管理目標は140mg/dL未満です。 現在使用中の薬ではほぼそれに近い数値までコントロールされていますが、動脈硬化の起こしやすさを全体的に捉えて今後も治療を続けることが望ましいと思います。

コレステロール値を下げる薬は多数ありますが、スタチンが一般的でリバロはその1つです。 スタチンがよく用いられる理由は、動脈硬化の予防効果や副作用に関わる医学研究が多く公開され、安全性や予防効果の高い薬として認められていることです。 ガイドラインでも薬物治療で最初に選ぶ薬の1つとして位置付けています。一般診療で処方されるようになり30年経過しましたが、 長期間服用を続けることで生じる副作用は報告されていません。しかし、頻度は高くないものの、肝障害や「横紋筋融解症」などの副作用が知られ、 服用者の全身状態や薬の飲み合わせでそれらが起きやすくなることが知られています。 このように、コレステロール治療は、薬の予防効果と副作用に加えて、体の状態や生活環境など、患者さんに合った内容をそれぞれ考えることになりますので、 担当医に相談しながら治療を継続することが大切と思います。

(この答えは、2014年4月現在のものです。医療は日々進歩しているため、後日変わることもあるのでご了承ください。)