【質問】胃カメラでGISTが見つかりました

1年8ヵ月ほど前に胃潰瘍になり、その時の胃カメラで3mmくらいのGISTが見つかりました。 1年後の検査で「大きくくなっていないが、存在している」と言われました。 胃はたまにもたれる程度で、大きな症状はありません。GISTは薬などで小さくなることはないのでしょうか。 1年に1度胃カメラの検査を欠かさないようにと医師に言われていますが、自分自身で気を付けることなどがありましたら、教えてください。 胃潰瘍は治療、ピロリ菌は除菌しました。
●70歳・女性
●特に持病はない


【答】

「GIST(消化管間質腫瘍)」は、消化管、腸間膜に発生する腫瘍です。 発生頻度は10万人に1~2人と稀で、日本では胃に発生する頻度が高い特徴があります。 日本癌治療学会などから「GIST診療ガイドライン」が発刊され、これに記載された方針で診断、治療が行われています。 ご質問者の場合は、胃潰瘍の検査で胃カメラを実施され、偶然に3mm大の小さな種瘤を発見されたということです。 そして内視鏡生検(内視鏡で観察しながら組織を切除し病理検査を行うこと)の結果、GISTと診断されたのだと思います。 腫瘍のサイズが小さく、また、1年後にも同じ検査を実施して腫瘍が増大していないことが確認されていますから、 現状では担当医のお話のように、定期的に胃カメラ検査を実施して大きさの変化を観察していただくことで十分だと思われます。

胃のGIST検査は粘膜下層(胃の内腔を覆う粘膜の下層にできた腫瘍)として発見されることが多く、 ガイドラインでは腫瘍が2cm未満で、潰瘍形成や辺縁不整(病変の縁が凹凸している)、サイズ増大などがみられなければ、経過観察を勧めています。 一方、腫瘍に明らかな増大傾向があり、前述のような異変が認められる場合には、CT検査や消化管超音波内視鏡検査(吸引胞診を含む)などで精密検査を行います。 検査の結果、転移がなければ胃を切除する手術の適応について検討することになります。 最近は、腹腔鏡下胃切除術など、患者さんへの負担が少ない手術法を選択することも可能です。 GISTは一般の胃癌と異なり増殖する速度が比較的遅く、腫瘍のサイズが小さければ転移を起こすことも稀なので、定期的な経過観察でよいと思います。 ご自分で気を付けることは特にありませんが、上部消化管の症状(胃痛、胃もたれ、胃の膨満感など)があれば、ご自身で経過をよく観察し、 2週間程度で改善しなければ医療機関での診察を受けてください。

なお今回のような小さな病変の経過観察例には副作用の点から使用しませんが、胃切除後の再発例や切除できない状態で発見された場合には、薬物療法が選択されます。 一般的にはイマニチブ、スニチニブ、レゴラフェニブなどが使用されます。

(この答えは、2018年2月現在のものです。医療は日々進歩しているため、後日変わることもあるのでご了承ください。)