熱中症

夏は、熱中症に注意が必要です。重症化すると命に関わります。 こまめに水分を補給するなどして予防に努めるとともに、万一の時のために、応急処置を覚えておくことが大切です。


■熱中症とは?

暑さによって起きるさまざまな体調不良

『熱中症』とは、暑さが原因で起きるさまざまな体調不良の総称です。 重症化すると、意識障害臓器の機能障害を起こして、命を落とすこともあります。 2016年、熱中症で救急搬送された患者さんの数は、7月は約1.9万人、8月は2.1万人以上でした。 また、2016年6〜9月に熱中症によって死亡した人の数は、579人にもなります。 夏の気温は、昔に比べて高くなっています。また、アスファルトやコンクリートに覆われた都市部では、ヒートアイランド現象により気温が上昇しやすく、 夜になっても熱が冷えにくいため、気温が下がりません。こうした事情から、近年は熱中症を起こす危険が高まっています。 熱帯夜も増えており、家で過ごすことの多い高齢者は特に注意が必要です。


■熱中症の仕組みと症状

意識障害を起こすなど重症化すると命に関わる

熱中症の初期の症状は、疲労や夏風邪と思って見過ごしがちですが、暑い場所にいた後に体調不良が起きたら、熱中症を疑って対処することが肝心です。

●熱中症が起こる仕組み

人間の体の内部の温度は、37℃くらいに維持されています。暑くなると末梢血管が拡張して血流が増え、体の内部の熱を排出しようとします。 同時に、汗をかいて、体表から熱を奪いながら蒸発し、熱を下げます。 しかしいくつかの原因により、この働きが妨げられると、体の内部の温度が上がります。 まず、環境の影響です。気温の上昇に加え、直射日光や道路の照り返しといった輻射熱が強いなどで、外気と体の内部の温度差が少なくなったり、 湿度が高い、風がないなどで汗が蒸発しにくくなったりすると、熱を排出しにくくなります。 脱水症状も一因です。体内の水分が減り、脱水症状を起こすと汗をかけなくなって、体の内部の温度が下がらなくなります。 また、血液量も減り、末梢神経から熱を排出することもできなくなります。 さらに、血流不足の状態では心臓の働きが低下し、全身の血液循環も悪くなります。 こうした状態に伴って、熱中症の症状が現れます。

●熱中症の症状

症状はさまざまですが、初期症状は、脳を含む内臓の血流低下が原因です。 末梢血管に血液が集まり、脳に十分な血液が届かないと、めまいなどが起こります。 筋肉がつるのは、筋肉組織での血流低下が原因です。 発汗により、筋肉の情報伝達の役割を担うナトリウム(塩分)が不足することも関係します。 重い症状は、脳を含む内臓の血流低下に加え、体の内部の温度が過度に上昇することで起こります。 温度の上昇に伴って臓器の機能が低下し、頭痛、吐き気、だるさなどが生じます。 さらに、体の内部の温度が40℃以上になると、意識障害、痙攣などの重篤な症状が現れます。

■熱中症の予防

水分と塩分の両方を摂る。体温を上げない工夫も大切。

熱中症を予防するために、次の3つのポイントを実践しましょう

▼脱水対策
水やお茶などでこまめに水分補給をします。入浴時や睡眠時にも汗をかいているので、入浴前後、寝る前、起床時にも水分を補給しましょう。 3食きちんと食事が摂れていれば、特に塩分を補う必要はありませんが、大量に汗をかくと、汗と共にナトリウムも失われます。 その場合は、水分に加え、塩分補給が必要です。スポーツドリンクを利用してもよいでしょう。 十分に食事を摂れない高齢者や、下痢をしている人などは、経口補水液で水分と塩分を補給します。 その場合は、一口ずつゆっくり飲むようにします。

▼体の内部の温度を上げない
外出するときは、11〜15時ごろの暑い時間帯を避けます。 また、外出や屋外での活動をする場合は、天気予報や環境省の「熱中症予防情報サイト」で、暑い日や時間帯を確認するとよいでしょう。 外出したら、こまめに涼しい場所での休憩をはさみ、水分を補給します。

▼室内を涼しくする工夫
熱中症の約40%は室内で起きているというデータもあります。部屋はカーテンなどで日差しを遮り、エアコンと扇風機を併用して温度を下げましょう。 特に高齢者は、暑さを感じにくい場合があります。温度計湿度計を使って数字で確認し、 温度は28℃、湿度は70%を超えないようにします。

■熱中症の応急処置

暑い時期の体調不良は熱中症を疑い、迅速に対応を

暑い日にしゃがみこんでいたり、ふらついたりしている人がいたら、熱中症を疑って声をかけましょう。 肩を叩いたりして意識を確認します。意識がある場合には、クーラーのある室内など涼しい場所に移動します。 意識がない場合や応答が鈍い場合は、すぐに救急車を呼び、涼しい場所へ移動させます。 ただ、救急車が到着するまでの時間は、通常であれば10分程度ですので、移動させにくければ、その場で日傘などを使って日光を遮りながら、救急車を待ちます。 到着まで10分以上かかると考えられる場所であれば、周囲の人と協力して涼しい場所へ移動させます。 移動したら、下図のような手順で対処します。

●医療機関での治療

医療機関では、冷やした生理食塩水電解質溶液を点滴して脱水症状を改善する、氷嚢や冷却マットで体の熱を下げるなどの治療が行われます。 持続的血液濾過透析などで、体内から冷やす方法もあります。 熱中症は高齢者だけでなく、体温調節能力が未発達な乳幼児にも多く起こります。 小さい子供がいる家庭では、こまめな水分補給と休憩を心がけて、子供の様子をよく見るようにしてください。


熱中症の応急処置の手順