活性水素水(水素豊富水)

鹿児島大学大学院でのマウスを使った実験で、『水素水』には、 インスリンと似た作用で血糖値をコントロールする作用があることが証明されました。 また、その抗酸化作用も見逃せないものがあります。


■「天然の水素水」のマウス実験

1型糖尿病の血糖値が低下。「天然の水素水」の効果がマウス実験で証明された。

●高齢化社会で予防医学のニーズがさらに高まる

雑誌やインターネットなどで「水素水が体にいいらしい」と話題になっています。 「天然の水素水」など水素水の効果として、よく知られているものに、抗酸化作用がありますが、最近、「血糖値の高いマウスに、 水素水を摂らせたら、血糖値が下がった」という研究報告がありました。 この研究を行ったのは、機能性食品の研究を積極的に行っていることでも有名な鹿児島大学大学院です。 そしてその研究成果は、米国発行の科学雑誌「PLos ONE」に掲載されました。 鹿児島大学病院心身医療科助教の綱谷東方先生が、「天然の水素水」について研究をすることになったきっかけは、 当大学では、食と健康に大きな関心を持って、さまざまな研究に取り組んでおり、食べ物をおいしく食べることは、 健康維持にとって非常に重要なポイントだから、ということだそうです。 私たちの体は、私たちが食事で摂ったものから作られ、摂ったものをエネルギーにして活動しています。 つまり、病気になりにくい健康的な体を作る基本になるのは”食”で、食事を見直すことは糖尿病など、 さまざまな病気の予防にもつながると言えるでしょう。 高齢化社会がますます進んでいくと、従来の医療の中だけでやっていくのは難しい部分も出てくるのではないでしょうか。 そして今まで以上に、食も含めた予防医学が重視されていくようになると考えれます。


●水素水を接種したマウスの血糖値が低下

綱谷先生らが行った実験の概要は次のようなものです。
糖尿病のモデルマウスを準備し、生理食塩水、天然の水素水、水素を溶かした水を投与しました。 そして18週間経過を観察したところ、経口投与、腹腔内投与、いずれの方法でも人工的に水素を添加した水、 天然の水素水と共に血糖値改善作用が見られたのです。
糖尿病には1型、2型があります。1型糖尿病は膵臓の中にあるインスリンを作る細胞が破壊され、インスリンが不足して起こるもの。 2型糖尿病はインスリンの分泌量が足りなくなり、インスリンの効きが悪くなって起こるものです。 2型は食事や運動などの生活習慣が関係することが多く、日本人にポピュラーなタイプの糖尿病です。 綱谷先生が行った今回のマウスの実験で「天然の水素水」の効果が確認できたのは、1型糖尿病のモデルマウスだったそうです。 しかし、”2型糖尿病モデルマウスにも水素水の効果が見られた”という実験報告もあります。 現在、1型糖尿病の治療ではインスリン注射が必須です。2種類の糖尿病の場合でも、食事療法や運動療法で効果が得られない場合は、 インスリン注射での治療を行わなければいけません。 でも頻回の注射は面倒ですし、感染などのリスクもあります。「天然の水素水」の機能性についての研究が進み、 その血糖値コントロール作用が人間の糖尿病治療を補完するものとして利用できるようになれば・・・・・と、期待が高まります。


■「水素」の働き

「水素」の新しいパワーに注目!血中の糖を筋肉に取り込むインスリンと同じような働きが

●インスリンが足りなくても、水素が糖代謝をサポート

「天然の水素水」について、研究を進めている綱谷先生は次のように説明します。

「水素水の機能性、人間の体に与える健康効果については、まだはっきりとしたことはわかっていません。 しかし私たちが糖尿病モデルマウスを使って行った実験では、水素を含む水を摂取した1型糖尿病のモデルマウスの血糖値が 改善したというデータが出ました」

高血糖という状態がどうして起こるのか、そのメカニズムをまず説明しましょう。
食事を摂ると、消化管から血管の中にブドウ糖が入り、血糖値が上がります。すると膵臓からインスリンが分泌され、 血液中の糖は筋肉などに取り込まれ、血糖値は下がります。これが健康な人のからだの仕組みです。 しかしインスリンの効きが悪くなったり、インスリンの分泌量が減っていたりすると、筋肉などに取り込まれる糖の量が低下。 血液中に糖がダブつく高血糖という状態になってしまうのです。

「水素水はインスリンと似た作用を持っているようで、筋肉に糖が取り込まれるのを促進する働きをするのです」

インスリンに対応して、血糖値を保つように働くのがグルコース輸送体(Glut)です。 Glutにはいくつかのタイプがあり、筋肉ではGlt4が担当します。インスリンが分泌されると、グルコース輸送体は 血液の中にあるブドウ糖(グルコース)を細胞の中に取り込みます。しかしインスリンが足りない状況でも、 水素がさまざまな酵素を活性化してグルコース輸送体を刺激し、骨格筋の細胞へのブドウ糖の取り込みを促進します。 そしてその結果、マウスの血糖値が下がったと考えられるのです。

「水素水を投与した前後で、グルコース輸送体の変化を見る実験も行ったのですが、やはり水素が細胞内でインスリンと似たような 経路をとって働きました。しかし、水素が細胞内でどういうメカニズムで作用しているのかまでは、明確にわかっていません。 しかも現時点では、このような結果が得られたのは細胞培養と動物実験のみです。ですから”人間の糖尿病患者も「天然の水素水」 の効果で、血糖値を下げられ、糖尿病がコントロールできる”と、単純に結論付けることはできません」

ただ今後、さらに研究が勧められ「天然の水素水」の効果がより具体的にわかってくれば、水素水が機能性食品として 人気を集める可能性は十分あると言えるでしょう。


●安定性が保ちにくく、実験には課題も

綱谷先生らが、実験期間を18週間と長期間に設定したことにも、意味があるそうです。
「単純に「天然の水素水」の効果を確認するだけならば、1〜2ヶ月の実験でよかったのかもしれません。 しかし、人間の糖尿病の臨床に応用できたら・・・・・など、補完医療としての水素水の可能性を考えると、 より長期的に経過を見る方がよいだろうと考えました。というのも、人間の糖尿病の場合、そのコントロールは一生涯、 続けなければいけませんからね」

ネズミの寿命を人間の寿命で換算すると、10日くらいが1年にあたるので、18週間ということは12〜13年もの年月をかけて 経過を観察したことになります。実験にはさまざまな苦労もあったと言います。

「水素は気体ですから、安定性がなく、時間の経過とともに、どんどん抜けていってしまうんです。 ですからその安定性をいかに保つかが、大きな課題でした。例えば薬を使う実験でしたら、同じ条件で同じ量を投与できますが、 水素水の場合はそれがなかなかできないのです。できるだけ一定量の水素を摂らせるため、来る日も来る日もマウスの水換え・・・・・ という地味な作業の繰り返しで、少ししんどい面もありましたね」

と綱谷先生は振り返ります。


●水素水には抗酸化作用も

糖尿病などの生活習慣病や癌など、さまざまな病気は活性酸素によって細胞が酸化することが主な原因だと考えられています。 そのためごまや緑黄色野菜、サーモンなど抗酸化作用を持つ食品はとても人気です。 水素水も抗酸化作用があることがわかっています。でもだからといって、水素水を飲めば老化や病気が防げると、 容易に判断するのはよくないと綱谷先生は話します。

「私たちのマウスを使った実験で「天然の水素水」の効果の一部は実証できました。しかし、「天然の水素水」に関する研究は、 まだ始まったばかりです。その抗酸化作用やインスリン様作用が、私たちの体にどんなふうに働き、どんな効用が得られるのか。 さまざまな実験を重ね、1つずつ実証していく必要があると思っています」