狭心症

胸痛が起これば狭心症が心配だが、狭心症は胸に加え肩や背中など広い範囲が痛むのが重大サイン。

■狭心症と心筋梗塞

発作を繰り返すごとに突然死の危険が高まる

胸痛が起こると、誰でも狭心症や心筋梗塞が起こったのではないかと心配することでしょう。 しかし、両者には発作の起こり方に大きな違いがあります。 狭心症の発作は、急に寒い場所に出たとき、階段を上っているとき、興奮したときなどによく起こります。 狭心症の発作が起こると突然、胸の周辺が痛みます。狭心症といえば胸が局所的に痛むと思われがちですが、そうではありません。 痛みが胸だけでなく左肩や左腕・背中、時には顎や奥歯にまで広がり、痛む範囲を胸だけに限定できないのが特徴です。 しばらく安静にしていると、痛みが自然に治ります。 逆に言えば、弱い痛みやチクチクとした痛みが長く続いたり、胸などの痛む部位をはっきりと指し示すことができたりした場合には、 肋間神経痛(肋骨に沿って走る神経が痛む症状)など狭心症以外の病気を疑った方がいいでしょう。 胸痛は、その他にも、呼吸器や消化器などの病気で起こることがあります。


一方、心筋梗塞の場合も胸痛が起こりますが、狭心症とは比べ物にならないくらい強烈な痛みです。 立っていられずその場にうずくまってしまったり、失神しそうになったりするほどの激痛が起こります。 そして多くの場合、狭心症の痛みは数分で消えますが、心筋梗塞の激痛は数十分から数時間続きます。 狭心症は、心臓に血液と共に酸素や栄養を送る冠動脈が動脈硬化を起こし、内腔が狭くなって血流が一時的に 不足した状態となることで起こります。ところが心筋梗塞の場合、冠動脈の一部が完全に詰まるため、 心臓の筋肉(心筋)が部分的に壊死してしまい、突然死を招く危険性が高まります。

狭心症の発作は通常、しばらくすると治まりますが、放置してはいけません。 発作が起こる回数が増えたり、いつもより軽い動作で起こったり、長引いたり痛みが強くなったりした場合には、 心筋梗塞の前触れといえます。狭心症で突然死することはめったにありませんが、発作を繰り返すごとに心筋梗塞を招く 危険性が高まるからです。また、痛みよりも息切れや息苦しさを強く感じる場合には重症の狭心症と考えられるので、 すぐに病院で検査を受けましょう。胸の痛みが長引き冷や汗も出てきたら、救急車を呼んでください。 心筋梗塞になる人の半数は、過去に狭心症を体験しているといわれています。 生活習慣の見直しや適切な治療で動脈硬化の進行を抑え、突然死を高率で招く心筋梗塞を徹底的に防ぎましょう。