不整脈

心臓の脈拍は、安静にしているときはゆっくりになり、動いたり、興奮している場合、発熱しているときは速くなります。 何の原因もないのに、脈がゆっくりになったり、速くなったり、また不規則になる状態を不整脈といいます。 不整脈にはさまざまなタイプがあり、特徴によって細かく分けられます。 脈拍が1分間に50回以下になると徐脈、100回以上を頻脈といいます。 一般に1分間に40回を下回ると、めまいや息切れなどの症状が出やすくなります。 また、120回を超える頻脈は、動悸や息切れ、胸痛、めまい、失神を起こすことがあります。 危険なタイプの不整脈が起こると、突然死に繋がったり、 脳梗塞を引き起こしたりすることもあります。 特に、心臓などに病気がある人は、危険なタイプの不整脈を起こしやすくなります。 不整脈のタイプは、治療が必要かどうかということにも関わってくるため、自分が持っている不整脈のタイプを知ることが大切です。


■不整脈とは?

不整脈は心臓の収縮と拡張のリズムが乱れて起こる

心臓は全身に血液を送るために、一定のリズムで収縮と拡張を繰り返しています。その回数は、1日に10万回以上にもなります。 こうした心臓の収縮と拡張のリズムが乱れ、脈拍が速くなったり、遅くなったりするのが「不整脈」です。 不整脈があると、心臓から十分な量の血液を送り出せなくなり、全身に異常を起こすことがあります。 しかし、不整脈は自覚するのが難しい場合があります。 発見するためには、「心電図検査」を受けて心臓の状態を調べることが重要です。

●不整脈の仕組みと原因

心臓の収縮と拡張のリズムを作っているのは心臓を伝わる電気信号で、右心房の上にある「洞結節」と呼ばれる部位から発生します。 この電気信号の発生や伝達に異常があると不整脈が起こり、血液を送り出す心臓の”ポンプ機能”が障害されます。 原因は先天性のものと後天性のものがあります。最も多いのは年齢によるもので、30歳を超えるとどんな人にも軽い不整脈がみられる場合があります。


■不整脈は3つのタイプに大別される

心電図とは、心臓を伝わる電気信号を捉えて波の形で表したものです。 電気信号の波形は、主に「P波」「Qrs波」「T波」に分けられます。 P波は最初に現れる波型で、心房が電気的興奮をするときに見られます。 Qrs波は心室が電気的興奮をするときに、T波は興奮した心室の筋肉が元に戻るときに出る波です。 不整脈があると、心臓の収縮と拡張のリズムが乱れ、心電図には通常と異なる波形が現れます。 不整脈は大きく3つのタイプに分けられます。

タイプ①除脈性不整脈
心臓の収縮と拡張のリズムが正常のペースより遅い状態です。心電図の波形の間隔は長くなります。 脈拍の間隔が開き、全身に十分な量の血液を送れなくなるため、「息が切れる」「だるい」といった 心不全のような症状や「めまい」などが現れます。 脳に十分な量の血液が行き渡らず、失神を起こす場合があります。

タイプ②頻脈性不整脈
心臓の収縮と拡張のリズムが、正常より速い状態です。心電図の波形の間隔は短くなります。 急に脈拍が速くなるので、「動悸」が現れます。また、息切れやめまい、失神を起こすこともあります。 頻脈で特に注意が必要なのが、心電図の波が1分間に400~600回にもなり、不規則になる「細動」です。
心房細動
心房の筋肉が細かく震えて十分に収縮できなくなり、心房内の血液を心室へ送り出さなくなります。 心不全や脳梗塞の原因にもなります。
心室細動
心室の筋肉が小刻みに震える状態になるため、全身に血液を送り出すのが難しくなります。 血圧が著しく低下して、「突然死」の原因になります。

タイプ③期外収縮
心臓が通常より早いタイミングで収縮するため、”脈が飛ぶ”ように感じます。 不整脈の中では最も多く、心配のないものがほとんどですが、 稀に「狭心症」「心不全」などの他の病気が隠れていることもあります。

■心電図検査には、主に3つの方法がある

▼通常の心電図(12誘導心電図)
胸の周りと、両手首や両足首に電極を貼り、12方向から心臓の電気信号の伝わり方を調べます。 健康診断などで、一般的な検査として行われています。特に、40歳以上の人は、症状がなくても年に1度は受けるようにしましょう。

▼ホルター心電図
心電計を体に装着し、24時間の心電図を記録します。 不整脈の起きた時間帯もわかるので、その時何をしていたかを記録しておけば、原因を調べるのにも役立ちます。 不整脈の疑いがあっても、通常の心電図では異常が見つからない場合に行われます。

▼運動負荷心電図
専用の自転車をこぐなどして体を動かし、心臓に負荷を与えたときの心電図の変化を調べます。 運動中に狭心症発作や不整脈などの異常が起こらないかどうかをチェックします。

■治療

治療が必要でないものもありますが、心停止に繋がる危険なものもあります。症状に応じて対処します。


■関連項目