脳動脈瘤

脳の動脈壁が瘤のように膨らむ


■症状と特徴

脳に動脈瘤が発生しても、初期は自覚症状がありません。 動脈瘤が成長すると、稀に目の動きに関する動眼神経が圧迫され、 瞼が下がる眼瞼下垂などの症状がみられることがありますが、 多くは、脳動脈瘤破裂で発病します。 破裂した場合は、くも膜下出血になります。 このときは、強く頭を殴られたような激しい頭痛、吐き気や嘔吐、痙攣、意識障害がみられます。 至急、救急車を要請してください。


■原因

多くは生まれつき動脈壁に弱い部分があり、これが圧の高い血流に押されて瘤のように膨らむと考えられています。 脳の動脈硬化、脳動脈への細菌感染、頭部外傷が原因になることもあります。


■治療

脳に血液を送る脳動脈は4本あり、MRA(磁気共鳴血管造影)、3D-CTA(CT血管造影)、脳血管造影などの検査によって動脈壁を調べ、診断します。 破裂すると、出血は一時的に止まっても、放置するとまた出血し、命に関わることもあるので、予防のために手術したほうがよいとされます。 手術は動脈瘤の根元を遮断するクリッピングが一般的です。症状によっては、特殊な材料で覆うこともあります。
血管内手術も行われています。 この方法は大腿部の動脈から細いカテーテルを脳動脈瘤内まで入れて、プラチナのコイルを瘤内に詰めて血栓を形成させて、破裂を防ぐのです。 近頃(2021年)は脳ドックなどで症状のない未破裂脳動脈瘤が発見されることが多くなっています。 この場合は、70歳以下で、動脈瘤が5mm以上の場合には手術が勧められています。 年齢のほか、動脈瘤の大きさ、形、位置などから放置した場合のリスクなどを考えて判断します。