胸郭出口症候群のサインの肩こり

肩がこり腕に冷えも感じる場合は女性に多い「胸郭出口症候群」の可能性があり、治す秘訣は「怒り肩姿勢」です。


■胸郭出口症候群

神経や血管の通り道が狭くなる

肩こりに加えて、腕の冷えや脱力感、ひじの内側の痛み、わきの下の引きつるような痛みなどを伴う場合は、 胸郭出口症候群という病気にほぼ間違いないでしょう。 私たちの心臓や肺を守っている鎖骨や肋骨などの骨組みを「胸郭」といいます。 鎖骨と第一肋骨(左右12本ずつある肋骨の一番上)の間にある隙間を「胸郭出口」と呼びます。 胸郭出口は肩に近いところにあって、ここを多くの神経や血管が通っています。 例えば、頚椎の中を通る脊髄から枝分かれし、腕や手につながる神経(腕神経叢)は、 胸郭から離れて狭い胸郭出口から腕に向かって出て行きます。 心臓と腕を結ぶ血管も、腕神経叢と交差するような格好で胸郭出口を通っています。 この胸郭出口のところで、血管や腕神経叢が骨や筋肉によって圧迫されると、肩こりや首の痛みをはじめ、 腕の痺れや手指の感覚麻痺などが引き起こされます。 また、腕神経叢は、周囲の自律神経とつながっています。そのため、腕神経叢が圧迫されると自律神経が影響を受けて、 頭痛、吐き気、顔面の痺れ、目のかすみといった症状が現れることもあります。

胸郭出口症候群は、なで肩で筋肉があまり発達していない、20~30代の女性に多く発症します。 なで肩で線の細い体型の若い女性は、もともと胸郭出口が狭くできています。 その上、肩の周りにある筋肉の力が弱いため、腕の重さによって腕神経叢が胸郭出口で引っ張られ、症状が出やすいのです。 こうした体型の人が、長時間パソコンを操作したり、いきなり重いものを持ったりすると、 胸郭出口が一段と狭くなってしまうため、血管や腕神経叢がより強く圧迫され、肩こりをはじめとする症状が 現れるというわけです。

胸郭出口症候群になりやすい体型の人は、鎖骨の上にあるくぼみを自分の指で強めに押してみましょう。 あるいは誰かに頼んで、痛みや冷えや痺れがある方の腕を、下に向けてグッと強く引っ張ってもらってください。 そして、圧痛(押したことで発生する痛み)を感じたり、腕を引っ張られて痺れや痛みが強まったりしたなら、 胸郭出口症候群の疑いが濃厚です。該当した人は、整形外科を受診することをおすすめします。 家庭では1日5~6回、意識して怒り肩の姿勢をとるといいでしょう。 背筋を伸ばし、両肩を上げて前にすぼめるようにすると、鎖骨の上にくぼみができて、腕神経叢の圧迫が緩みます。 毎日続ければ肩周りの筋肉も強化され、肩こりや腕のつらい症状の改善が期待できます。