脳血管性認知症の人の介護

転倒予防に特に配慮しつつ、コミュニケーションを試みる

脳血管性認知症の人の介護では、この病気特有の症状についてきちんと理解し、注意しなければならないポイントを抑える必要があります。 脳血管性認知症に伴う「BPSD」に対しては、適切な注意が必要になります。


脳血管性認知症の人の介護のポイント

パーキンソニズムによる歩行障害などにより、脳血管性認知症の人は転倒しやすいという特徴があります。 そのため、家の中の段差をなくすなどの工夫をしたり、歩行中などには十分に配慮しなければなりません。 ただし、動くと危険だからといって行動を制限してしまうと、運動不足から「廃用症候群」を招き、 寝たきりにつながる可能性もあります。そのため、できるだけ日常的に動くようにすることも重要です。

言語に関しては、話す能力が障害されやすいのですが、話を理解する能力はかなり保たれているという特徴があります。 本人が伝えたい内容を代弁し、意思疎通を図るとよいでしょう。 また、回想法などの会話を用いたりリハビリテーションは有効だと考えられています。

幻視に対しては、”人なんていない”などと頭ごなしに否定するのはよくありません。 本人の話を肯定する必要はありませんが、”人がいた”という本人にとっての事実を受け入れ、 ”人がいたのね”というように、受容的な態度で接するようにします。 また、幻視は薄暗い部屋で生じやすいので、部屋の明るさを保ちましょう。 壁に衣類がかかっていると、それを人と見間違えることもあるため(錯視)、 その原因になりやすいものは、あらかじめ取り除いておきます。

また、「認知機能の動揺」により、、ぼんやりしてしまうときと、しっかりしているときがあるので、 介護する人は、本人がどのような状態であるかを捉え、それに合わせた介護を行う必要があります。 認知機能が良好な時なら、周囲の人との活動や会話に参加できますが、状態がよくないときは、 部屋で静かにしたほうが良い場合もあるのです。