虫歯

歯周病に次いで、歯を失う原因の第2位が「虫歯」です。 虫歯は、虫歯菌、食習慣など様々な原因が関連して起こります。 新しい治療法についても解説します。


■虫歯が起こる仕組み

虫歯のなりやすさは、さまざまな要因が複雑に絡んで決まる

虫歯は、プラーク(歯垢)の中の虫歯菌が酸を作り、歯を溶かしてしまう病気です。 虫歯菌の中には歯を溶かす酸を作る力が強い歯と酸を作る力が弱い歯があります。 酸を作る力が強い歯が口の中に増えている場合は、虫歯になりやすくなります。 また、虫歯菌は食べ物に含まれる糖分を餌にして増殖します。 甘いものをよく食べる人は、虫歯になりやすくなります。 しかし、虫歯の原因は虫歯菌だけではありません。 食事の回数、歯並び、歯磨きの状況、唾液の量など、さまざまな要因が絡み合って、虫歯の成りやすさが決まります。


●虫歯になりやすい年齢

虫歯がある人を調べた調査によると、子供の虫歯は年々減っていますが、55歳以上から虫歯ある人が増えていることがわかります。 特に65歳以上の高齢者では、虫歯がある人が年々増加しており、体力的な問題から、口の中のケアが十分にできていないことが原因の一つと考えらえます。


●虫歯ができやすい場所

虫歯ができやすいのは、歯と歯の間のような、プラークが溜まりやすく、手入れがしにくいところです。 また、加齢や歯周病によって歯茎が下がり、露出した歯の根元も虫歯ができやすい場所です。 以前虫歯の治療で詰め物やかぶせ物をした内側も、虫歯ができやすい場所です。 詰め物やかぶせ物にも寿命があり、長年の使用で擦り減ったり、剥がれたり、膨張したりして、歯と詰め物やかぶせ物の間に隙間ができ、 そこにプラークが溜まり虫歯が再発することがあります。表面からは見えないため、進行に気づきにくいのが特徴です。


■虫歯の治療

歯磨きの指導を基本に詰め物などをする

歯は体の中でも再生しにくい組織です。そのため、できるだけ削らずに歯を保持することが今の虫歯の治療の基本です。 歯磨きの指導と共に、虫歯の進行の度合いに合わせた治療が行われます。 初期の虫歯は、ホワイトスポットといい、虫歯菌が出した酸によってカルシウムイオンなどが溶け出し、歯の一部が白くなります。 この段階なら、歯にカルシウムイオンを再取り込みさせる薬を塗ると元の状態に回復させることができます。


●歯を削る場合の治療

虫歯が進行していると、歯を削らなければなりません。その場合も、できるだけ歯を残すようにします。 最近は、見た目の美しさにも配慮した治療が行われるようになってきています。
虫歯を削る部分が小さい場合は、コンポジットレジンという特殊なプラスチックを使った治療が主流となってきています。 削った場所に直接塗布し、特殊なライトを当てて固めるだけなので、10~30分間と短時間で処置できます。 削った歯との間に隙間ができにくく、二次的な虫歯の予防も期待できます。 金属と同じくらい長持ちし、摩耗したら補修することも可能で、見た目も目立ちません。治療には保険も適用されます。

CAD/CAMという技術も登場しました。削った歯を3Dスキャンし、パソコン上で詰め物やかぶせ物を設計するもので、樹脂などを速く、 正確に削り出せるのが利点です。一部の材料で保険適用されていますが、材料の強度の問題で使用できない歯もあります。 また、CAD/CAMを設備していない歯科もあるので、希望する場合は事前に確認しましょう。 虫歯が神経にまで侵食していた場合は、神経を取る治療が行われます。 注目されているのがマイクロスコープによる治療で、顕微鏡で拡大してみながら治療するため、より確実に神経を取り除くことができます。 ただし、治療費は高額で、保険適用は条件が限られています。


■虫歯の予防

日々のケアに加え、定期的に検診を受けることが大切

虫歯の予防は、日々のケアが基本です。正しい歯磨きで、虫歯の原因になるプラークをしっかり落とします。 基本的に歯磨き剤や歯ブラシはどんなものを使っても構いません。それぞれの特性を生かして、正しく使うことが大切です。 忙しい人や高齢者には、効率的に汚れが落とせる電動歯ブラシがおすすめです。 歯磨き剤は、虫歯予防に効果的な成分が含まれているものを使うとよいでしょう。
食の嗜好や食べ方を見直すことも大切です。レモンの果汁や酢など酸性の強いもの(phが低いもの)は、歯を溶かす働きがあるため、 食べ方によっては虫歯になりやすくなります。酸で溶けた歯を酸蝕歯といい、虫歯、歯周病に続く”第三の疾患”として注目されています。 酸性の強いものや甘いものは、口の中に長時間含まず、だらだら食べないようにして、食べた後は口をゆすぐようにしましょう。 ふだんのケアと検診を組み合わせて虫歯にならないことを第一に心がけ、異変を感じたらすぐに治療を受けましょう。 また、一度治療を始めたら、自己判断で中止せずに続けることが大切です。


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