湯たんぽで低体温を改善する

自律神経の乱れを正し低体温を改善するには体の加熱が必要で、 それには、熱量が多く長時間使える「湯たんぽ」が最適です。 自律神経の乱れを正されることで冷えが取れ、耳鳴り・慢性疲労・頭痛・鬱さえ治るといわれています。


■入浴

入浴だけでは、体の深部の冷えは解消できない

過度のストレスのために自律神経のバランスが乱れると、全身の血流が悪化して低体温を招きます (ストレスと低体温)。 その結果、内臓の働きも免疫力も低下し、さまざまな不快症状や病気を招くようになります。 自律神経の乱れを正すには、体を深部までしっかり温めることが大切です。 冷えた体を温める方法として真っ先に頭に思い浮かぶのは、「入浴」ではないでしょうか。 確かに入浴で体は温まりますが、湯から上がってしばらくすると、体はまた冷めてしまいます。 また、慢性的な症状や病気を抱えている人の場合、1日に1、2回、ごく短時間の入浴をしただけでは 体の冷えを深部から取り去ることはできません。入浴は低体温の解消に非常に重要ですが、 冷えがひどい人はより積極的に血流をよくして、低い体温の上昇を促す必要があります。


●家庭でできる温熱療法「湯たんぽ」

筋肉の量が多い太ももを温めるのがコツ

最近は、体を温める健康器具がたくさん出回っていますが、そのほとんどは高価です。 夜寝るときに電気毛布を使う人もいますが、体から水分を奪って乾燥させるという欠点がある上に、電気代もかかります。 そこでおススメなのが「湯たんぽ」。湯たんぽは1個あれば、そこにお湯を入れて使うだけでいいのですから、 きわめて経済的です。しかも熱量も大変多いため、効率よく、ゆっくりと確実に体を乾燥させることなく 深部まで温められるという特徴があります。 体が深部まで温まれば、自律神経の乱れが正され、血流はますますよくなります。 血流がよくなれば、それだけエネルギーも産生されて、体が自然に温まり内臓の働きも免疫力も高まります。 もし、湯たんぽがない場合は、2リットルのペットボトルにお湯を入れて代用してもかまいません。 ただし、ペットボトルに熱湯は入れられないので、この場合は50~60℃のお湯を入れ、 こまめにお湯を入れ替えて使うといいでしょう。

湯たんぽによる温熱療法を行うときは、お腹・太もも・お尻・二の腕を中心に温めます。 なぜかというと、これらの部位は全身の中でも筋肉の量が多く、筋肉は血流を増す働きを担う器官だからです。 また、太ももや下半身を温めれば、足から心臓へ戻る血流も増します。 こうしたことから、お腹・太もも・お尻・二の腕は、前身の血流をよくするのに最適な部位なのです。

湯たんぽによる温熱療法を実行すると、免疫力の指標になる白血球の一種のリンパ球が驚くほど増え、 耳鳴り・頭痛・慢性疲労・鬱病まで、さまざまな症状や病気が改善します。 それどころが、湯たんぽによる温熱療法は、癌やパーキンソン病などの難病の治療にも役立っています。


◆気持ちいいと感じる温度を目安に

湯たんぽの温熱療法の基本は、お腹を温めることです。そのほか、日常生活の中で無理なく温められ、 かつ体温アップ効果も大きい部位として、筋肉量が多い太もも・お尻・二の腕も集中的に温めていきます。 各部位の温め方のコツは、次の通りです。

▼お腹
仰向けに寝た状態、または床や椅子に座った状態で、湯たんぽをへその辺りに当てる。
▼太もも
床や椅子に座った状態で湯たんぽを膝に乗せ、その位置をずらしながら、足の付け根から膝上までの前面を温める。
▼お尻
湯たんぽを椅子や座椅子の背に立てて置き、腰からお尻にかけて温める。
▼二の腕
湯たんぽをテーブルなどの上に置き、左右それぞれの二の腕を乗せる。

体が深部まで冷えている人は、日中でも夜でも、四六時中、積極的に体を温める必要があります。 職場で仕事をしているときや家庭でテレビを見ているとき、食事中など、できる限り時間を見つけて、 上にあげた4つの部位を3~10分ずつ湯たんぽで繰り返し温めます。 寒い季節でなければ、入浴する前に各1分ずつ、合計5分かけて4つの部位(二の腕は左右1分ずつ)を温めるだけでも効果的です。 体を温めてお風呂の湯と体の温度差を少なくしておくと体が温まりやすくなり、 しかも長く入浴していられるからです。 お湯の温度は、使用する湯たんぽの材質やカバーの種類にもよりますが、気持ちいいと感じる程度の温度、 つまり肌で感じる温度が40度前後になるように調節してください。

また、外出時など、湯たんぽが使えないときは、カイロを使うといいでしょう。

◆注意点

湯たんぽによる温熱療法を実行するときには、いくつか注意することがあります。

▼汗をかくほど温めるのは逆効果
一つ目は、汗をかくほど体を温めないことです。湯たんぽを使って同じところをずっと温めていると、 汗をかくことがあります。しかし、汗をかくほど温めると、気化熱(汗を蒸発させるために発生する熱) のためにかえって体を冷やしてしまう場合があるので、よくありません。ほどよく温まったと感じたら、 当てる場所を移していきます。
▼お湯が冷めた状態で使用しない
二つ目は、お湯が冷めた状態で当てておかないことです。体温程度の温かさのお湯では、効果がありません。 お湯はこまめに取り替えましょう。
▼低温やけどに注意
三つ目は、低温やけどに気をつけることです。50℃くらいの、それほど高くない温度でも、 湯たんぽで長時間温め続けていると低温やけどを起こす恐れがあります。 低温やけどを回避するには、3~10分おきに湯たんぽの位置をずらすといいでしょう。 特に、皮膚が弱い人や高齢の人では、カバーでくるんだ湯たんぽを、さらにタオルで包むなどして、 体に当てるようにしてください。

◆夏でも湯たんぽを使うのが大切

湯たんぽは冬だけでなく、夏も使用することが大切です。病気を抱えている人は、夏でも体の深部が冷えているのです。 特に汗をかいた後は気化熱(汗を蒸発させるために発生する熱)のために体温が下がります。 しかも、最近は何処に行っても冷房が効いており、かえって夏の方が冷えのひどい人もいます。 こうした夏の冷えが、秋や冬の冷えを憎悪させてしまうのです。 そのため、事務仕事の人や運動不足の人など、体を冷やす機会の多い人は、一年中、積極的に湯たんぽを使って 体の冷えをとるようにすることが望まれます。