腸の善玉菌を増やす『育菌』⑥ペラペラ腸

急増中のペラペラ腸を放置するとメタボを招く!和定食やカレーで撃退せよ!


■ペラペラ腸の人は、太っている人が多い

今、『ペラペラ腸』の人が急増しています。 ペラペラ腸というのは、腸が極端に薄くなり、活動が低下した腸のことです。 なぜ、ペラペラ腸になるのかというと、食生活に問題があるからです。 現代は甘いものやスナック菓子、清涼飲料水などが氾濫しており、コンビニなどで簡単に手に入るため、 そういったものばかり食べる人が増えています。それらに含まれる、糖分やアミノ酸、脂肪酸などは、 消化に苦労することなく、そのまま腸に吸収されてしまいます。 しかし、腸は本来、口から入ってきた食品を、とことん消化する仕組みになっています。 腸は筋肉でできているので、筋肉運動をして消化するわけです。 先ほどのような楽に吸収できるものばかり食べていると、筋肉を使う必要がないので、筋肉運動しなくなり、 退化してペラペラに薄くなっていくわけです。 腸がペラペラになると、さらに体は、消化しやすい、糖分の多いものばかりを欲するようになります。 そのため、悪循環でどんどんその傾向が強くなるわけです。 糖分ばかり摂取するため、ペラペラ腸の人は、太っている人が多い傾向があります。 つまり、ペラペラ腸はメタボや鬱病の元凶ともなるのです。

では、ペラペラ腸になってしまったら、どうすればいいのでしょうか。 衰えた筋肉を鍛えるのと同様に、腸を鍛え直す必要があります。 まず重要なことは、規則正しい食生活を心がけることです。 自分では意識できませんが、消化管運動はもともと自動でプログラムが組まれています。 従って、腸が働く時間、休む時間というように、きちんとメリハリをつけましょう。 間食や夜食をとると、このプログラムに支障を来してしまいます。 次に、食事内容を変えることでも、腸は鍛えられ、機能が向上します。 何を食べればいいのかというと、『食物繊維』『発酵食品』、スパイスの3つです。 食べ物は、消化に時間のかかるものを選ぶことが、腸を鍛えるのに大切です。 食物繊維の豊富な野菜を、温野菜などにしてたっぷり食べましょう。 穀物であれば、雑穀もいいでしょう。食物繊維は、便のカサを増やす効果もあり、免疫を向上させるメリットもあるので、 食事で意識的に摂りたいものです。


●よく噛んで食べるとガス腹の解消に役立つ

また、腸の働きをよくするためには、善玉菌と悪玉菌のバランスも大事です。酵母や乳酸菌を含む発酵食品を意識的に摂ると、 善玉菌が増えて腸の働きが活発になります。すると、腸が鍛えられて、さまざまな病気を防ぐ免疫力を高めてくれます。 腸にいい発酵食品というとヨーグルトを思い浮かべる人が多いかもしれません。 しかし、ヨーグルトに入っているのは1種類の乳酸菌だけです。その点、日本に古くからある漬け物は、乳酸菌、酵母菌、 食物繊維が同時に摂取できるのでお勧めです。

スパイスの香りや味の刺激も、胃腸の働きを活発にし、代謝を上げてくれます。 さまざまなスパイスをミックスしたカレー粉や、胡椒、シナモンといったおなじみのスパイスのほかにも、 ショウガやニンニク、ワサビ、和ガラシ、さんしょう、シソ、ミョウガ、ミツバ、ネギ、辛みダイコン、七味唐辛子、 柚子胡椒なども全てスパイスの仲間です。日頃から、スパイスを多用すれば、バラエティに富んだ、風味の良い食事が楽しめます。 そうすれば、自然と腸が元気になっていきます。

ところで、以上の3つの条件を満たす食事を考えると、まさに日本古来の和定食がうってつけです。 雑穀米に、干物や漬物などの発酵食品、野菜の漬け物といったメニューの和定食を1日1回食べていれば、 確実に腸を鍛えることができます。和定食以外では、キムチやカレーなどもお勧めです。 このようにして、腸を鍛えていけば、ペラペラ腸が改善して活発に動くようになります。 すると、健全な食生活ができるようになり、メタボも鬱病も解消できるはずです。

ところで、皆さんの中にはガス腹に悩んでいる人がいるかもしれません。ガス腹とは、ガスが腸にたまって苦しくなる病気です。 実はガス腹になる原因の8割は、咀嚼に問題があります。パンなどを始め、食べ物にはかなり空気が含まれているので、 よく噛んで空気を取り除き、唾液と混ぜる必要があります。 ところが、歯の具合が悪くてよく噛めないなど、咀嚼が不足すると、空気を飲み込むことになりガス腹が起こるのです。 また、ガス腹の残りの2割は、腸に問題があるケースで、この場合は下痢や便秘などを伴うのが特徴です。 このような人も、食物繊維や発酵食品、スパイスなどを積極的に摂って腸を鍛えれば、腸の状態が改善します。 和定食をよく噛んで食べる習慣は、すなわちガス腹の解消にも有効なのです。

以上に留意して食生活を改善し、腸の機能を向上させて、心身ともに健康増進に努めてください。