【質問】逆流性食道炎で薬を飲んでも症状が改善しません

49歳の夫のことでご相談します。夫は半年以上前から胸やけや胸のつかえがあり、食べ物が飲みにくいと訴えていたため、 病院で内視鏡検査を受けました。その結果、食道に軽い傷があり、逆流性食道炎と診断されました。 処方された胃酸の分泌を抑える薬を飲み続けているのですが、2ヶ月経っても症状がほとんど改善されません。 薬が合わないのでしょうか?(岩手県・Rさん・42歳・女性)


【答】好酸球性食道炎の可能性!再検査をしましょう。

◆逆流性食道炎なら薬の追加か、増量を

内視鏡検査で食道に炎症が認められた場合は、逆流性食道炎の可能性があります。 通常、胃酸の分泌を抑える薬(プロトンポンプ阻害薬といいます)を処方されて、2ヶ月すると70~80%の方は症状が改善します。 ご質問の方のご主人は2ヵ月間服用しても症状が取れていないということですので、逆流性食道炎である可能性と そうでない別の病気の可能性があります。
まず、ご主人が逆流性食道炎であった場合です。症状が改善しない時、次にどういう手段があるかといえば、違うタイプの薬の追加、 あるいは薬の増量です。プロトポンプ阻害薬で症状が取れない場合は、プロトポンプ阻害薬に加えて、消化管運動機能改善薬 あるいは漢方薬を飲むことによって症状が取れるかもしれません。 あるいは、プロトポンプ阻害薬の量を増やすことで症状が改善する場合もあります。


◆好酸球性食道炎の可能性もある

次は別の病気であった場合です。逆流性食道炎と症状は似ていますが異なる原因で起こる病気に、 「好酸球性食道炎」があります。これは中年の男性に多い病気で、以前は少なかったのですが、 最近増えていると言われています。好酸球性食道炎は、食べ物を原因とするアレルギー疾患で、この患者さんの半数は、 他のアレルギーを合併しています。質問者のご主人に喘息、アトピー、花粉症などのアレルギーがあれば、 好酸球性食道炎の可能性が高くなります。アレルギー反応が引き金となって、白血球のうちの好酸球が食道の粘膜に集まって、 慢性的に炎症を起こしてしまうのです。

◆内視鏡の専門医で食道の再検査を

この疾患は食道に特徴的な所見(異常)が見られるので、まず内視鏡の専門医に診てもらうことをお勧めします。 内視鏡で食道の炎症部分をもう一度詳しく調べてもらいましょう。
好酸球性食道炎であった場合の治療法ですが、プロトンポンプ阻害薬が効く人もいますが、主な治療法はアレルギーを抑える ステロイド薬による方法です。副作用の少ない局所作用ステロイド(喘息の吸入薬として用いられるもの)を処方することが多いのです。 消化器内科の専門医に、この病気の可能性を相談して治療法を選ぶとよいでしょう。