■逆流性食道炎の逆流が起こる仕組み

加齢のため筋肉などが緩むと、弁が開きやすくなり逆流する

食道と胃の境界部分は、胃の内容物や胃液が逆流しないように”弁”として働く機能があります。 境界部分は「噴門」といい、筋肉や靭帯に囲まれ、ふだんはそれらに締め付けられて、 弁が開かないようになっています。物を食べたり飲んだりしたときには、弁が開き食べ物を通します。 また、この弁は、食べすぎで胃の内部の圧力が高まったときなどにも、ゲップを出して内圧を下げるために開きます。


●主な原因

逆流性食道炎が起こりやすい原因は、以下のようなものです。

▼筋肉などが緩む
弁の部分を締め付ける筋肉(下部食道括約筋)や靭帯が、加齢とともに緩むと、 弁が開きやすくなります。
▼胃が圧迫される
「腹部に脂肪がたまる」「妊娠して子宮が大きくなる」などの場合は、 胃が圧迫されて、内部の圧力が高まり、弁が開きやすくなります。
▼食道の動きが悪い
逆流した胃液を胃に押し戻すことができず、胸焼けなどの症状や粘膜のただれを 起こしやすくなります。
▼胃液が多い
胃液の分泌量が多いと、逆流する量が増え、胸焼けなどの症状や粘膜のただれを 起こしやすくなります。

●逆流性食道炎が起こりやすい人

逆流性食道炎は、加齢とともに起こりやすくなります。特に「骨粗鬆症」の女性は注意が必要です。 骨粗鬆症は骨を弱くする他、弁の靭帯も弱くさせ、胃液が逆流しやすくなります。 また、腰が曲がると、胃が圧迫されたり、食道の位置が腰が伸びているときより下にくるので、 さらに逆流しやすくなります。胃が横隔膜の上にはみ出す「食道裂孔ヘルニア」を起こすこともあります。 食事の量の多い、肥満した男性も逆流性食道炎になりやすいタイプです。 食べ過ぎると、食後に頻繁に胸焼けを起こします。また、摂取エネルギー過剰で肥満してしまい、 その結果、胃が圧迫されて、ますます逆流しやすくなります。 逆流性食道炎の患者には「メタボリックシンドローム」が少なくありません。

「ピロリ菌」を除菌すると、胃酸の分泌が増えて逆流性食道炎になりやすいといわれていますが、 胸焼けが起こるのは、除菌治療を受けた人の約2割です。それも一時的なもので、 ほとんどは1年以内に治まります。除菌すると胃の調子がよくなり食欲が増します。 その結果、食べ過ぎたり、肥満して逆流が起こりやすくなると考えられます。 しかし、食べ過ぎないように注意し、肥満を解消すれば、胸焼けは治まります。 治まらない人もわずかにいますが、薬の服用を続ければ、生活に大きな支障はありません。 逆流性食道炎を心配して、除菌治療を受けるのをためらう必要はありません。