加齢黄斑変性症の治療

加齢黄斑変性』の治療では、病変が黄斑部の「中心窩」にあるのか、離れた位置にあるのかが問題になります。 視力を大きく左右する部位だけに、慎重に治療が行われます。 「滲出型」で、病変が中心窩から離れている場合は「レーザー治療」 「滲出型」で、病変が中心窩にある場合は、「PDT(光線力学療法)」が現在の主流です。 また、「萎縮型」の場合は、「経過観察」が行われます。


■加齢黄斑変性の治療

タイプ、病変の位置によって治療法が異なる

加齢黄斑変性には、「萎縮型」「滲出型」の2つのタイプがありますが、タイプによって治療法が異なります。

▼萎縮型
萎縮型に対しては多くの場合、治療は行われません。有効な治療方法がないということもありますが、 萎縮型は進行が非常に遅いため、基本的には経過を見ていくことになります。 ただし、新生血管が突然できて、滲出型に移行する場合があるので、放置せずに、定期的に眼科を受診することが大切です。

▼滲出型
滲出型では、黄斑部に伸びた新生血管が、さまざまな障害を引き起こします。 したがって、新生血管の位置が治療法を決めるうえで重要になります。 新生血管が最も視機能の高い「中心窩」に及んでいなければ、新生血管に直接レーザーを当てることが可能です。 しかし、新生血管が中心窩に及んでいる場合は、中心窩を傷つけないよう注意しながら、治療を行う必要があります。

●最新の治療法

滲出型の治療に向けた新たな取り組みも行われています。その1つが、「PDT」と「ステロイド薬」の局所注射を組み合わせた 治療法です。ステロイド薬には、もともと炎症を抑える作用があります。 なかでも、「トリアムシノロンアセトニド」というステロイド薬は、炎症を抑える効果が髙く、新生血管の活動性も抑えます。 そこで、トリアムシノロンアセトニドの注射薬を、先端がとがっていない特殊な注射針を使って、結膜と強膜の間に注入します。 それから、PDTを行います。
この治療法は、トリアムシノロンアセトニドで新生血管の活動性を抑えたうえで、PDTで新生血管を閉塞させるという二重攻撃で、 新生血管を壊死させるのが狙いです。ただし、まだ研究中の治療法であり、有効性を示す明確なデータは得られていません。