耳鳴り・難聴・めまい⑤脳卒中

耳鳴り・難聴・めまいに手足のしびれや、唇のしびれ、二重視、視野狭窄を伴えば、脳卒中を疑い即119番。


■手足や唇のしびれは脳卒中のサイン

耳鳴り・難聴・めまいを感じたときは、耳鼻咽喉科を受診するのが一般的です。 ところが稀に、耳鳴り・難聴・めまいが、脳の重篤な病気の症状として現れることがあり、注意が必要です。 特に脳卒中(脳梗塞や脳出血) が原因で耳鳴り・難聴・めまいが現れた場合、一刻も早く病院を受診する必要があります。

脳卒中の症状を説明しましょう。以下の症状が現れたら直ちに救急車を呼んでください。 脳の血管が詰まる脳梗塞が起こると、めまいと共に手足のしびれが現れたり、手足に力が入らなくなったりします。 また、視野が狭くなったり、物が二重に見えたり(複視)するなど視力に異常が現れることがあります。 脳梗塞の中でも脳幹や小脳などに血液を送っている椎骨脳底動脈が詰まると、回転性のめまいと共に唇がしびれたり、 舌がもつれたり、運動障害が起こったりします。一方、脳の血管が破れる脳出血では、経験したことのない激しい頭痛を伴うのが 大きな特徴です。それと同時に、めまいや手足の筋緊張の低下が現れます。脳梗塞でも片頭痛が起こりますが、 ハンマーで殴られたような強い頭痛が現れたら脳出血と考えましょう。 脳卒中では、これらの症状が突発的に起こり、やがて意識障害で気を失うことがあります。

このように、耳鳴り・難聴・めまいに加えて、①体のしびれや麻痺②手足の脱力③頭痛などが現れたら脳卒中を疑って、 迷わずに119番に電話して救急車を呼びましょう。


●早めに受診した方がいい症状

聴神経腫瘍でも、耳鳴り・難聴・めまいが現れます。進行すると、顔面に麻痺が現れ、病巣が脳幹や小脳を圧迫した場合には、 顔の左右が非対称になるほか、手足を思うように動かせなくなったり、食べ物を飲み込みづらくなったり(嚥下障害)します。 脳幹や小脳に腫瘍ができると、めまいを伴う頭痛や吐き気が起こります。 他にも、複視・運動障害・感覚障害が起こったり、顔が麻痺したり、嚥下障害が現れたりします。

いずれも腫瘍が徐々に進行する病気なので一刻を争うわけではありませんが、症状に思い当たることがあれば、 早めに脳神経外科を受診してください。ある日突然、耳が聞こえなくなる突発性難聴も、命に危険があるわけではありませんが、 早期に治療を始めるほど治癒率が高まるので、早め(できれば即日)に、耳鼻咽喉科を受診しましょう。