耳の病気(耳鳴り・難聴)

現在、日本では耳鳴り難聴めまいを訴えている人はおよそ2000万人いるといわれています。 耳鳴り難聴めまいは併発することが多く、 耳鳴りを感じる人の約90%が難聴を伴っています。また、難聴を訴える人の約50%に耳鳴りが認められます。 耳鳴りには、高音のものと低音のものがあります。高音の耳鳴りは「キーン」「ジーッ」「ピー」といった金属音やセミの鳴き声、電子音などです。 老人性難聴を始め、 突発性難聴、騒音性難聴などが原因と考えられています。 一方、低温の耳鳴りは、「ブーン」「ボーン」「ゴーッ」といった低い音です。 メニエール病や急性低音障害型感難聴などが原因として考えられます。 あなたの耳鳴り・難聴は高音ですか?それとも低音ですか? めまいはグルグルですか?フワフワですか? 原因不明の「耳のトラブル」を徹底チェックしましょう!! 耳鳴り患者の9割が難聴を併発し、耳鳴りの音に近い高さの音が聞こえなくなります。


■聴覚の衰え

聴覚の衰えは20代で始まるが、自覚するのは50~60代で、耳鳴り・めまいを併発しやすい

私たちの聴覚は、20歳を過ぎたころから、既に老化が始まっています。 その事実を示す例として「モスキート音」が挙げられます。 モスキート音は、若者には聞こえるけれど、年齢が高い人には聞こえにくい、非常に高い音を指す言葉です。 私たちが聞き取れる音の高さは、周波数でいうと20~2万ヘルツといわれますが、加齢とともに高音から聞こえなくなります。 17,000ヘルツ前後の周波数のモスキート音を流すと、10代から20代前半くらいの若者には聞こえますが、それ以降の年代では聞こえにくくなります。 このように、私たちの聴覚の老化は、意外なほど若い年齢から始まっているのです。 しかし、実際に聴力の低下を自覚し始めるのは50~60代といわれています。 それは、日常会話で必要とされる音の高さが500~2000ヘルツ程度であり、モスキート音のような高音域が聞こえなくても特に支障なく生活できるからです。

では、そもそも耳鳴りや難聴、めまいはなぜ起こるのでしょうか?
音とは空気の振動で、外耳道を通って中耳にある鼓膜に伝わります。 鼓膜に伝わった空気の振動は耳小骨(ツチ骨・キヌタ骨・アブミ骨)に伝わり、振動が20倍以上に増幅されます。 音が空気の振動として外耳から中耳まで伝わる経路は「伝音系」と呼ばれます。 次に、増幅された空気の振動はカタツムリのような形をした「蝸牛」に進みます。 振動によって蝸牛の中のリンパ液が揺れて、その揺れを有毛細胞が感知して電気的な振動に変換します。 この信号が聴神経(蝸牛神経)を通じて大脳の聴覚領域に伝えられ、音として認識されるのです。 音が電気信号として内耳から脳まで伝わる経路は「感音系」と呼ばれます。


■耳鳴り・難聴

内耳から脳で起こる難聴は原因不明かつ治療が困難で耳鳴りの合併率も60%と高い

音は伝音系から感音系を伝わって大脳に至り、言葉や音楽など、さまざまな音色として認識されます。 ところが、この過程のどこかで障害が起こると、耳鳴りや難聴、めまいが生じるのです。 伝音系の難聴は音がうまく伝わらないため、感音系の難聴は音をうまく感じ取れないために起こるといえます。 一般的に、感音系の難聴は原因不明なケースが多く、治療が難しいといわれています。 さらに、耳鳴りの合併症率も、伝音難聴が25%なのに対して、感音難聴では60%と高く、感音難聴による耳鳴りが問題となります。 耳鳴りの音は難聴で聴こえなくなった音と似ているため、例えば高い周波数の音が聞こえなくなると、 「キーン」「ジーッ」「ピーッ」といった高音の耳鳴りが生じます。 耳鳴りの原因に関しては、まだ不明な点が多いのが現状です。 しかし、蝸牛内部にある有毛細胞は、一つ一つ担当する音の高さがピアノの旋盤のように決まっており、 有毛細胞の障害が似たような音域の耳鳴りと難聴を引き起こしていると考えられるのです。