βグルカン(1−3)

■βグルカン(1−3)とは?

抗癌作用があるのはβグルカン(1−3)のみ

キノコ類には、βグルカンという成分が豊富に含まれ、βグルカンは「抗癌作用」がある成分として 注目を集めてきました。βグルカンとは、単糖類が多数結合した多糖類で、大別すると「βグルカン(1−3)」「β(1−6)グルカン」の2種類があります。このうち、抗癌作用があるといわれているのは、 βグルカン(1−3)のほうで、β(1−6)グルカンについては抗癌作用がほとんど期待できないといわれています。 シイタケやマイタケにはβグルカン(1−3)とβ(1−6)グルカンが混合して含まれていますが、 アガリクスはβ(1−6)グルカンのみで、ある実験によっても抗癌作用が認められない、という結果が出ています。 一方、ハナビラタケはβグルカンのほとんどがβグルカン(1−3)で占められ、シイタケ、マイタケなどに比べて 数倍以上も含有しています。


■βグルカン(1−3)の有効実験@

以下は、ある研究グループがハナビラタケの抽出液を使って行った実験です。 この実験は、ハナビラタケの抽出液で白血球の減少をどれだけ防げるか、というものです。

人間の免疫機能は、NK細胞、B細胞、T細胞、マクロファージなどの白血球から成り立っており、 それらが減少すると体の免疫力が維持できなくなってしまいます。 そこで、白血球の働きを低下させる抗癌剤をマウスに注射し、同時にβグルカン(1−3)の抽出液を飲ませて経過を観察したところ、 白血球は一時的に減少したものの、すぐに増加に転じたことがわかりました。
また、健康な人の血液を採取し、そこにβグルカン(1−3)の抽出液を加えるという実験では、 サイトカイン(細胞から放出されるたんぱく質)の産生量が増えたことが確認されました。 サイトカインとは、白血球を中心とした免疫細胞を刺激して、癌細胞やウィルスを排除する働きを持つ物質です。 つまり、サイトカインが増加したということは、免疫力が増強したことを意味しています。


■βグルカン(1−3)の有効実験A

ハナビラタケの抗癌作用を実証するために以下のような実験が行われました。

  • @熱水抽出法(熱湯で煮出す)、A冷アルカリ抽出法(水酸化ナトリウムに浸す) B熱アルカリ抽出法(水酸化ナトリウムで煮出す)という三通りの方法を用いて、ハナビラタケの成分を抽出。
  • 抽出した成分の構造を分析した結果、いずれの抽出法でもβグルカン(1−3)が多量に含まれていることを確認。
  • 実験用マウス(生後6週間・体重30gのオス)130匹を用意し、太腿の付け根皮下に癌細胞を注射。 (そのまま放置すれば、がん細胞が増殖)
  • 癌細胞を注射したマウスのうち120匹を12グループに分け、上記の3通りのβグルカン(1−3)抽出液を マウスに投与。(癌の増殖や成長がどれだけ抑えられるか、どの抽出法がより有効かを調べる)
  • 残り10匹(対照群)は、βグルカン(1−3)抽出液を与えずに飼育。
  • 前記12グループには、癌細胞注射後7日目、9日目、11日目の計3回、3通りのβグルカン(1−3)抽出液を、 量を変えて腹腔内に注射。

実験開始から35日後に、全てのマウスから癌細胞を摘出し、それぞれの重量を比較したところ、 βグルカン(1−3)抽出液を与えなかった対照群では、元の体重の1/3に当たる10gまで癌が成長していました。 一方、βグルカン(1−3)抽出液を与えた12グループについては、全てのマウスから癌細胞の増殖が抑えられている ことが確認されました。とりわけ、熱アルカリ抽出法による抽出液を与えたグループは、 10匹ともに癌細胞が100%消滅していました。特筆すべき点は、体重30gのマウスに与えた熱アルカリ抽出液の1回量が わずか100μg(1/100000g)であることです。この比率を体重60kgの人に置き換えると、約200mg。 ごく少量のハナビラタケでも、かなりの抗癌作用を発揮することがあることが判明したのです。


■βグルカン(1−3)の有効実験B

βグルカン(1−3)と大豆イソフラボンとの併用

以下は、2002年の日本癌学会で発表された、ハナビラタケに大豆イソフラボンを加え、 抗癌作用がどれだけ高まるかという実験の臨床データ報告です。

大豆イソフラボンには、癌が成長する過程で、癌細胞に栄養を送り込む働きをする「新生血管」 の発生を防ぐ働きがあります。つまり、癌を兵糧攻めにして、自殺に追い込む効果が期待できるわけです。 マウスを使って実験した結果、免疫力の主役とも言える白血球が大幅に増強されているのが確認されました。 そこで、免疫療法を受けている進行癌の患者7人(男性3人、女性4人、33〜71歳)に対して、 大豆イソフラボンを加えたハナビラタケ強化食との併用を試みたところ、その結果、7人全員の癌が縮小し、 しかもそのうち3人の癌が消滅したという結果が出ました。

以来、ハナビラタケを癌治療の一環として導入する医療機関が着実に増えており、癌の再発も防いでいます。 ハナビラタケを進行癌や末期癌に対して積極的に採用している医師も多く、特に治療が困難とされている末期の肺癌、 肝臓癌、子宮癌、直腸癌に有効率が高いことも報告されています。
以上の実験によって、βグルカン(1−3)を豊富に含むハナビラタケは、強力な免疫増強作用を持ち、 その働きを発揮することで、癌の予防や改善に大いに役立つことが期待できます。