鬱病(うつ病)の薬物療法

抗うつ薬は、「三環系抗うつ薬」「四環系抗うつ薬」 「SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)」 「SNRI(選択的セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)」の4種類に分類されます。 「SSRI」はセロトニンの再取り込みを、他の薬はセロトニンとノルアドレナリンの両方の再取り込みを阻害します。


■鬱病(うつ病)の薬物療法

神経細胞間の情報伝達を活性化して、鬱病(うつ病)の症状を改善

脳は神経細胞が集まってできています。 鬱病(うつ病)には、脳の神経細胞間の情報伝達の状態が関係していると考えられています。 神経細胞と神経細胞の間には、わずかな隙間がありますが、ここに神経細胞から「神経伝達物質」が放出されて、 次の神経細胞に取り込まれることで、情報が伝わっていきます。 感情や思考はこのような神経伝達物質の働きによって生まれてきます。

鬱病(うつ病)の人では、神経伝達物質のうち、精神を安定させる働きのある「セロトニン」や 神経を興奮させる働きのある「ノルアドレナリン」の量が不足していることがわかっています。 神経細胞から放出された神経伝達物質は、次の神経細胞に取り込まれる他、一部は元の神経細胞再度送り込まれます。に 薬物療法の中心となる「抗うつ薬」には、この再取り込みを防ぐ作用があります。 それによって、神経細胞間のセロトニンやノルアドレナリンの量を増やすことで、 情報伝達を活性化して、鬱病(うつ病)の症状を改善します。

身体疾患(例えば甲状腺機能低下症)が原因となってうつ状態が起きている場合は、 狭義の鬱病(うつ病)とは診断されないのですが、症状の改善のために抗うつ薬を用いることがあります


■抗うつ薬の種類と特徴

抗うつ薬は、「三環系抗うつ薬」「四環系抗うつ薬」 「SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)」 「SNRI(選択的セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)」の4種類が主に用いられます。 「SSRI」はセロトニンの再取り込みを、他の薬はセロトニンとノルアドレナリンの両方の再取り込みを阻害します。 これらの薬は、症状の重さなどによっても使い分けられることがありますが、 最近では比較的副作用の少ない「SSRI」「SNRI」が第一選択薬としてよく用いられています。