ケフィア(コーカサスヨーグルト)

ケフィア(コーカサスヨーグルト)』は、 一般的なヨーグルトよりもさらに多くの乳酸菌やイースト菌、ケフィア菌、 多種類のアミノ酸を含む乳タンパク質、各種ビタミン、ミネラルを豊富に含んでおり、 腸内環境を整えて腸を若く保ち、便秘の解消や免疫力をアップさせる健康食として世界中で人気を集めています。 ロシアの微生物学者であり、ノーベル賞を受賞したメチニコフもその論文内で「ケフィアを定期的に飲用することで、 お腹をきれいに保つことができる」と発表し、その働きを絶賛しています。


■「ケフィア」とは?

酵母や酢酸菌による共生発酵が特徴

世界の三大長寿地域といわれるロシアのコーカサス地方の伝統食である『ケフィア』。 ヨーグルトによく似たこの発酵乳ケフィアは、腸内環境を整えて腸を若く保ち、 便秘の解消や免疫力をアップさせる効果のあることで、今注目の的になっています。

ケフィアの起源は、2000年ほど前に、コーカサス地方の山岳民族が、ヤギの乳を運んでいるとき、 乳に乳酸菌や酵母が偶然入り込んで自然発酵したものといわれています。 ケフィアは、同じように長寿地域として知られるブルガリアを発祥とするヨーグルトとは、見た目はよく似ていますが、 その成分や発酵の様子は大きく違います。ヨーグルトには、ブルガリクス菌とサーモフィラス菌の2種の乳酸菌を 利用した発酵乳という国際的な定義があります。ただし、日本では菌種に特別な取り決めがないため、 各メーカーは、この2種をベースに同じ乳酸菌であるビフィズス菌を加えるなどして、味や風味に特色を出してきました。 つまり、ヨーグルトは2〜3種類の乳酸菌が単独発酵した発酵乳です。

これに対し、ケフィアは地域により異なった数種類の乳酸菌や酵母、酢酸菌が使用されています。 代表的な乳酸菌としては、棒状の形をしたバチルス菌のラクトバチルス属では、ケフィア菌、ケフィラノファシエシス菌、 カゼイ菌、アシドフィルス菌など。コッカス菌のラクトコッカス属では、ラクチス菌、クレモリス菌などです。 さらに、酵母のサッカロミセス・セレピシエや、酢酸菌のアセトバクター・アセティなどが共生発酵することが、 ケフィアの一番の特徴です。 また、発酵時間でも、ヨーグルトが35〜37℃という高めの温度で約8時間かかるのに対し、ケフィアは25℃前後で 約20時間と、ゆっくりと発酵します。発酵の様子も、粘り気のないヨーグルトに対し、ケフィアは「ケフィアグレイン」 というカリフラワーのような白色の塊を形成します。ケフィアグレインには、ケフィランという粘性のある多糖類が 含まれているため、触るとネバネバと指にくっついてきます。


●腸内の善玉菌を増やすケフィア

ビフィズス菌が2週間で倍増

人間を対象にした、ケフィアの摂取による腸内環境の変化を調べた実験があります。 20代の被験者に、1日300gのケフィアを摂ってもらい、腸内菌や腐敗産物への影響を調べるというものです。
その結果、試験開始の2週間前と、ケフィアを摂取して1週間後、2週間後、摂取休止1週間後と、 合計4回にわたる腸内環境の調査では、腸年齢を示す指標である腸内のビフィズス菌の割合に大きな変化が現れました。 試験前は14%だったビフィズス菌の割合は、ケフィアを摂取して1週間後には18%に、2週間後には28%と、 試験前の2倍になったのです。このことから、ケフィアには腸内の善玉菌を増やす効果のあることがわかりました。 また、食中毒の原因菌であるウェルシュ菌などの悪玉菌は、ケフィアの摂取期間中は、減少することが確認されていますが、 いずれも摂取を中止して1週間ほどで、摂取前の状態に戻っています。 この結果によると、ケフィア摂取による腸内環境は、継続することで環境が維持されることがわかりました。


●ケフィアの効果・効能

アレルギー症状を抑える抗体が増加

上記の実験ではさらに、ケフィアの摂取により乳酸菌や酢酸などの有機酸が増えることも確認されています。 腸内に有機酸が増えるのは、ビフィズス菌が活発に働いたおかげで腸内環境が酸性となり、悪玉菌が住みにくくなった ためです。このように腸内で善玉菌が優位な状態になると、体にはさまざまな効果が現れます。 まず、乳酸や酢酸が腸の蠕動運動(食べ物を先に送る運動)を活発にするため便秘が解消します。 また、腸管から吸収される腐敗産物の減少によって、肝障害や発癌、風邪の抑制効果や肌荒れ、肩こりなどの改善効果 も期待できます。これらは、乳酸菌が白血球を活性化して、免疫力がアップしたことで、有害物質の産生が妨げられた ためと考えられます。 さらに、大阪大学が行った試験では、花粉症の人がケフィアを摂ったらアレルギー症状を引き起こすIge抗体(免疫グロブリン) が減り、そのIge抗体を抑制するIFN-γ(免疫インターフェロン)が増加することも期待されています。

このように、腸内環境をよくするためには、腸内に住む善玉菌であるビフィズス菌に大量の援軍を送ることが必要です。 その効果は、単独発酵した発酵乳であるヨーグルトより、多種多彩な乳酸菌や酵母が共生発酵したケフィアに 軍配が上がるのは当然のことでしょう。ケフィアを利用するには、牛乳に入れて作れる市販の種菌を使うと便利です。 ケフィアグレインは作られませんが、その効果に変わりはありません。その味も、酵母の発酵により爽快感のある 風味が生まれ、ヨーグルトより穏やかな酸味が特徴です。 腸内環境改善のためには、ケフィアを1日300gを目安に摂るといいでしょう。 また最近では、便利なケフィアの粒食品も市販されているのでこれを利用するのもお勧めです。

ロシア科学アカデミー微生物中央研究所がまとめた「ケフィール製造の歴史」によると ケフィアには、下記の効果が期待できるとされています。

  • 消化機能を向上させる
  • エネルギー源としてのL(+)型乳酸を増加させる
  • 血液中の血清脂肪酸を安定させる
  • 経口投与で抗がん作用に顕著な効果がある
  • 高血圧患者の血圧を下げる
  • ホルモン分泌を促し、特に女性の場合、美肌・美髪・プロポーションが良くなるなどの美容効果がある
  • 糖尿病患者の血糖値を下げる(臨床結果により報告)
  • アレルギー疾患の改善(喘息・鼻炎・花粉症等)
  • にきび・おでき・傷等の改善
  • 風邪、膀胱炎、等の改善
  • 血栓を防ぎ、血流をスムーズにする働き
  • 腸の働きを整える
  • 唾液・胃液の分泌を高め、消化機能を向上させる