■『四つん這い体操』④「プッシュオフ」

体操に加え腰椎周囲のコリを軽く押しては離す簡単指圧『プッシュオフ』も行えば効果が増大。

以下は某クリニック院長による説明です。


●筋肉のコリは血流を悪化させる原因

腰部脊柱管狭窄症(以下、脊柱管狭窄症)に伴う腰痛の改善には、背骨を支える体幹筋が楽に強められる 「四つん這い体操」が有効です。ただ、脊柱管狭窄症の腰痛をより効果的に改善に導くには、 体幹筋の強化に加えて、腰椎の周囲に生じた筋肉のコリをほぐすことも必要です。 前かがみ姿勢を取りがちな脊柱管狭窄症の患者さんでは、腰周辺の筋肉が凝って硬直することが多いものです。 筋肉のコリはその部位を走る血管を圧迫し、血流の悪化を招きます。血流が悪化すれば、周囲の筋肉や神経、 人体に新鮮な酸素や栄養を十分に送り届けられなくなります。その結果、患部に起こった痛みや炎症もなかなか治まらず、 ダラダラと続いてしまうわけです。とはいえ、筋肉のコリは、強く押し揉みすると体の防御反応によってさらにひどくなる という特徴があるため、少ない刺激で効果的にほぐす必要があります。 そこで私がお勧めするのが『プッシュオフ』という方法です。


◆弱い力でジワリ通すのがポイント

私が考案したプッシュオフとは、指先の腹を使って、コリで硬くなったところを優しくジワリと3~4秒ほど押え(プッシュ)、 パッと離す(オフ)ことを繰り返す指圧の一種です。プッシュオフで得られる最大の効果は、血流促進効果です。 指でコリの部分をジワリと押すと、その圧力によって表面に近い部位の毛細血管を流れる血液が、 静脈の方へ押し流されます。そこで小指をパッと離すと、指で加えていた圧力が無くなるため、 血液が押し流されていた毛細血管に、新鮮な酸素や栄養を豊富に含む動脈の血液が一気に流れ込むのです。 プッシュオフを繰り返せば、こうした血液循環が盛んに行われて患部の血流はアップし、筋肉のコリや痛み、 炎症も解消されていくというわけです。

プッシュオフを行う頻度に決まりはありません。気が付いたときに積極的に行いましょう。 ただし、決してギュッと強く押さないでください。指先を軽く乗せ、皮膚が少しへこむ程度で効果は十分得られます。 脊柱管狭窄症の腰痛でプッシュオフを行う部位は、左記の図を参照してください。 なおプッシュオフは、脊柱管狭窄症に伴うふくらはぎ痛や太もも痛、臀部痛などの改善にも役立ちます。

◆トリガーポイントの除去にも役立つ

プッシュオフは、痛みや痺れを招く大きな原因になると注目されている「トリガーポイント」をほぐすのにも 役立ちます。トリガーポイントとは、押したときに響くような痛みを伴うパチンコ玉大の筋肉の硬いしこりで、 筋硬結とも呼ばれています。痛みや痺れのある部位の周辺を指先の腹で押し揉みしながら、少しずつ指の位置をずらして トリガーポイントを探しましょう。トリガーポイントが見つかったら、その周囲も含めてプッシュオフを行ってください。 トリガーポイントが除去できれば、腰椎の改善効果も高まるはずです。