DNAチップ

DNAチップは、光学顕微鏡を扱うときに使うスライドガラスのような基板です。 大きさはスライドガラスの2倍ほどで、チップの上には約5万5000個の「ヒト遺伝子」が並んでいます。 生物の一つ一つの細胞の中には「核」があり、そこには「染色体」と呼ばれるひも状の構造体(DNA)が入っています。 その染色体には、それぞれの生物に固有の遺伝情報(ゲノム)が内蔵されています。 生物の体は、ゲノムを設計図として作られていますが、その際、重要な働きをするのがゲノムの中の「遺伝子」です。 ヒトの場合、遺伝子は約2万1000種類あると考えられています。 そのすべての遺伝子を基板の上に敷き詰めると、同種の遺伝子を重複して並べるため、基板上では約5万5000個になります。


●DNAチップの使い方

まず、被験者の病巣の一部(数mgほどの量)を採取して、特殊な方法で遺伝子を増やし、液状の検体を作ります。 その際、遺伝子に蛍光物質でラベルを付け、目印とします。 つまり、ラベルの付いた物質が被験者の遺伝情報物質ということになります。 次に、この液状の検体の中に「DNAチップ」を浸します。 双方の遺伝子は、同種のもの同士が出会うと、次々に結合していきます。 この操作の後、チップを洗うと、結合した遺伝子の部分が残って、他の部分は流れ去ってしまいます。 スキャナーと呼ばれる装置観察すると、残された部分の遺伝子は蛍光を発しており、 被験者の遺伝子を特定することができます。さらに、DNAチップ上で発光した位置のパターンをコンピュータで解析することにより、 のタイプがどのようなタイプであるかもわかります。