アレルギー

厚生労働省の調査では、日本人の3人に1人が皮膚・呼吸器・目・鼻にアレルギー症状があるといわれています。 アレルギー疾患に陥る人は、遺伝的にアレルギーを起こしやすい素因(体質)があるといわれていますが、 その素因が表面化するか、しないかは、その人の暮らし方や生活環境が関係しているようです。 アレルギー対策は現代人にとって、健康管理の必須科目です。


■「アレルギー」とは?

免疫の過剰反応が原因

私たちの体は、ウィルスや細菌などの外敵が侵入してきたときに、それをやっつける「免疫力」をもっています。 しかし、人体に害のない物質に対して免疫が働き過ぎてしまうことがあります。 これがいわゆる『アレルギー』です。 アレルギー反応に関係する物質の一つが「免疫グロブリン(IgE)」という抗体です。 これが増えると別の抗原(免疫系に作用する物質一般)と反応し、炎症を招く物質を出します。 それが目や鼻の粘膜を刺激すると涙や鼻水が出るのです。 アレルギーによって引き起こされる代表的な症状には、 アトピー性皮膚炎気管支喘息アレルギー性鼻炎腸炎結膜炎などがあります。


●アレルギーを引き起こす物質「アレルゲン」

アレルギーを発症させる物質を「アレルゲン」と呼んでいます。
アレルゲンになる物質には、

▼空気を吸い込むことで鼻や気管支の粘膜に進入する吸入アレルゲン
ダニ、カビ、花粉、犬や猫などの毛

▼飲食によって消化管粘膜から侵入する経口アレルゲン
卵、牛乳、大豆、そばなど

▼接触によって皮膚に侵入する接触アレルゲン
化粧品、洗剤、装飾品など

▼注射や虫刺されにより体の中に入る注入アレルゲン
抗生物質、ホルモン剤、蚊、蜂など

があります。


●アレルギーを起こす人、起こさない人

同じような条件で生活し、同じようにアレルゲンの侵入を受けている人でも、アレルギーになる人とならない人がいます。 その違いは何処にあるのでしょうか。

アレルギー性の病気には、その現れた個々の症状が遺伝するのではなく、共通の素因であるアレルギー性素因が遺伝すると考えられています。 つまり、アレルギー体質を遺伝的に持っている人の体に、外から抗原が入ることでアレルギーが始まるというのです。 両親がアレルギー症状を示す場合、その子供が発症する確率は60~80%といわれています。 また、IgE値が血清中に多い人は、ほとんどがアトピー性皮膚炎、気管支喘息、アレルギー性鼻炎を発症することが指摘されています。 自分がアレルギーに敏感だと思ったら、IgEの量を調べてみるのも一つの手立てです。

●生活環境の改善

アレルギーは生まれつきの素因が関係しているといいましたが、日常生活をする上で抗原に触れる機会を減らしたり、 抗体抗原反応が起こりにくい体をつくるなど、予防改善することが大切です。 機密性の高い現代住宅においては、化学物質や暖房器具からの窒素酸化物、カビの胞子、ダニの死骸など、空気と共に吸入されます。 吸入アレルゲンに反応するアレルギーでは、窓を開けるなど換気をよくすること。 ダニ捕り用品、空気清浄機、マイナスイオン関連機器の使用などで対策しましょう。 そして、寝具や衣類にも気を配りたいものです。 安心な天然素材やアレルゲンを抑制する安全な機能性加工剤を使用した商品も登場しています。 暮らしの中の化学物質を減らし、まめに掃除をして清潔にして暮らすことが重要です。 また、肌荒れを起こさない工夫としては、 保湿効果を高めるなどのスキンケア対策が望まれます。


●食を通じて健康な体づくり

▼高たんぱく・高脂質の食事を見直す
卵や牛乳、肉などがアレルゲンになりやすいのは、たんぱく質が体内でうまく分解されないことから起こります。 肉食中心の食生活は、未消化のたんぱく質を作りやすく、それが腸から吸収されるとIgEという抗体が作られ、 アレルギー反応のきっかけとなります。

▼体にいい水を飲もう
私たちの体は約60%が水分で満たされています。そして、体内の水は常に出入りを繰り返して生命活動を支えています。 水は毎日飲むもの、体質と深く関わってきます。水道水に含まれる残留塩素などは、皮膚の細胞を傷つけたり 食品のビタミンCを破壊することが知られています。 通常は問題ない量ですが、アレルギーがある場合は 「浄水器」などの使用を心がけましょう。

▼免疫機能に働きかけ
自律神経系・内分泌系・免疫系のシステムが相互作用しバランスを保つためには、健康食品の補給も大切です。 代表的な成分として、キノコ類に含まれている 「β-グルカン」などが注目されています。

●検査で把握、アレルギー体質

アレルギー体質かどうか、自分の体質を知ることが大事です。 皮膚での検査は、腕の内側に1mm程度の小さな傷をつけ、アレルギー反応の原因となる抗原を見つけて反応が起こるかどうかを見ます。 また、血液検査では、はっきりとした特徴が出てきます。 現在では、食物や吸入抗原を確認するために検査キットを備え付け、患者に提供している医療機関・薬店もあります。 ま、た「郵送検診」によって調べることもできます。