尿路結石

尿が腎臓で作られ排出される道筋でできた結石を総称して『尿路結石』と呼びます。 尿中のシュウ酸やリン酸などの成分にカルシウムが結合して結石となります。 尿の結石は、結石がある位置で呼び名が変わり、腎臓結石、尿管結石、膀胱結石、尿道結石の4つに分類されます。 尿路結石の尿路は、腎臓内部から排尿口までの全ての総称である為、尿路結石は上記4つの結石の総称です。 女性よりも男性のほうが2~3倍発病率が高く、特に30~50歳代に多い病気です。 尿の通り道に石ができる尿路結石は、「激しい腰の痛み」や「血尿」など、さまざまな症状を引き起こします。 治療では、水分を多く摂り、尿と一緒に結石を排出することが基本になります。


■「尿路結石」とは?

尿の通り道に石ができて、さまざまな症状を引き起こす病気

尿は腎臓で作られ、尿管を通って膀胱にためられた後、尿道から排出されます。 この腎臓から尿道にいたる尿の通り道を「尿路」といい、 尿路にできた石を尿路結石と呼びます。 尿路結石は、「激しい腰痛」「血尿」など、さまざまな症状を引き起こします。

「尿路結石」の多くは腎臓で作られますが、結石のある場所によって「腎臓結石、尿管結石、 膀胱結石、尿道結石」など、異なる名前が付いています。 なかでも、腎臓結石と尿管結石は、特に食生活に関係していると考えられており、 日本では、戦後に食生活が欧米化して、動物性脂肪や動物性たんぱく質を多く摂るようになったのに伴って、急増しています。

「尿路結石」は、腎臓内にある「腎盂(じんう)」の粘膜の破片や、細菌などが核となって、その周りに尿中の成分が付着して作られます。 その成分はさまざまで、いくつかの種類に分けられます。 最も多いのが「シュウ酸カルシウム結石」などのカルシウムを主成分とした結石で、全体の約80%を占めています。 尿路感染などが原因でできる「リン酸マグネシウムアンモニウム結石」 や「尿酸結石」「シスチン結石」、これらが混合しているタイプや、成分不明のものも見られます。


■尿路結石の症状

結石のある位置によって、激しい腰痛や血尿などが起こる

●尿路結石の位置と症状

症状は、結石のある位置によって異なります。

▼激しい腰痛
尿管は筋肉の収縮で起こる「蠕動運動」によって尿を膀胱に送りますが、 結石が尿管に詰まると蠕動運動が妨げられ、尿は流れにくくなります。 すると、腎臓に尿がたまって「水腎症」となり、腎盂の内圧が上昇して、 腰に激痛が走ります(疝痛発作)。このときの腰痛は、通常、左右どちらか片側に 現れるのが特徴です。「吐き気」や「冷や汗」を伴うこともあります。

▼血尿
結石が尿管の粘膜を傷つけて、出血することがあります。

▼排尿障害
膀胱に大きな結石があると、「頻尿」や「残尿感」が現れることがあります。 また、排尿の途中に膀胱内で結石が動いて尿道が塞がれ、尿が途切れる場合もあります。

▼排尿時の痛み
尿道に結石があると、起こりやすくなります。

▼尿閉
尿道に結石が詰まると、尿道が塞がれて、尿が出なくなることがあります。

●症状が出ないときもある

腎臓には、腎盂や「腎杯」という空間があるので、結石があっても腎盂の内圧は余りあがらないため、 痛みなどはほとんど現れません。「サンゴ状結石」という、腎盂や腎杯内いっぱいに広がる結石が できても、自覚症状が現れない場合が大半です。 膀胱の内部も同じように空間が多いため、症状が出ない場合もあります。 このように症状のない結石を「サイレントストーン」といい、健康診断などで超音波検査などを 受けたときに見つかることもあります。


■尿路結石の検査

問診で症状や食生活、病歴などについて聞かれた後、次のような検査が行われます。

▼尿検査
血尿の有無や尿の酸性度などをチェックします。

▼超音波検査
尿管が異常に拡張する「水尿管症」や、腎盂・腎杯が拡張する水腎症が起こっていないか どうかや、結石の有無などを調べます。

▼エックス線検査
結石の位置を確認します。尿酸結石はエックス線画像に写り難いのですが、 超音波検査で大体の位置がわかります。


■尿路結石の治療

尿路結石と診断されると、症状や石の大きさなどに応じて、治療が行われます。

▼水分を多く摂る
結石の直径が5mm前後なら、通常、尿と一緒に自然に体外に石を排出できます。 そこで、水分を多めにとって石の排出を促すと、数ヶ月以内に石は排出されます。

▼薬物療法
痛みがある場合は、「鎮痛薬」が用いられます。排尿を促すために「利尿薬」を 使うこともあります。直径が10mm以上ある結石や、薬物療法では効果が見られないなどの 場合は、「体外衝撃波結石破砕術」や「経尿道的尿管砕石術」が行われます。

▼体外衝撃波結石破砕術
体の外から結石に衝撃波を当てて、結石を小さく砕きます。 結石は破砕されて砂のようになるので、治療後に水を多めに飲んで体外に排出します。

▼経尿道的尿管砕石術
骨が障害となって衝撃波を結石に当てられないなど、衝撃波で結石を砕くのが難しい場合 に行われます。尿道から内視鏡を挿入して超音波やレーザーを使って、結石を砕き、 治療後に尿と一緒に排出します。

体外衝撃波結石破砕術や経尿道的尿管砕石術が難しいケースも、ごくまれにあります。 その場合は、開腹手術が行われることがあります。


■尿路結石の予防法

水分を多めにとり、食事に気をつける

尿路結石は再発しやすいため、薬物療法や生活習慣の改善などで予防に努めることが大切です。

●再発予防のための薬物療法

体内で尿酸が作られるのを抑える薬や、尿中の環境を結石ができにくい状態に改善する 「クエン酸製剤」などが使われることがあります。

●生活習慣の改善

▼水分をこまめに摂る
尿量を増やして、結石のもとになる砂状の石を洗い流します。 また、尿が濃くなると結石ができやすくなるので、 水分を多めに摂って尿を薄めるようにします。

▼食事でカルシウムを摂る
カルシウムを十分に摂取していると、石のもとになる「シュウ酸」は腸内でカルシウムと 結合して、便として排出されます。日本人の平均的なカルシウム摂取量は、 必要な量に達していません。カルシウムの豊富な乳製品や魚などを積極的に摂る ようにしましょう。

▼動物性たんぱく質
肉などの動物性たんぱく質を摂りすぎると、結石ができやすくなります。 動物性たんぱく質を控えて、和食中心にするなど、食生活を見直しましょう。