虚血性腸炎

虚血性腸炎』の自覚症状としては、突然血流が悪くなるために、「突然の激しい腹痛」が起こり、 その後、病変部からじわじわ出血が起こると、「下痢」や「血便」が現れます。


■虚血性腸炎とは?

腸の血流が悪くなり、大腸に炎症などが生じる

『虚血性腸炎』は、腸の血流障害を原因とする病気で、「腸の狭心症」ともいわれます。
腸を支える「腸間膜」には、腸に酸素や栄養を運ぶ動脈が通っています。 この動脈に動脈硬化が起こり、そこに小さな血栓が詰まったり、腸管の内圧が上昇することで 一時的に血流が滞ることがあります。すると、腸の粘膜が酸素不足になって、大腸の粘膜に炎症が生じ、 「むくみ」や「ただれ」「潰瘍」などの病変ができます。これが「虚血性腸炎」です。 自覚症状としては、突然血流が悪くなるために、「突然の激しい腹痛」が起こります。 その際、「吐き気」や「嘔吐」を伴うこともあります。 その後病変部からじわじわ出血が起こると、「出血を伴う下痢」や「血便」が現れます。


●虚血性腸炎の原因

「虚血性腸炎」は多くの場合、「動脈硬化」や「便秘」などが原因で発症する

▼動脈硬化などが原因の場合
腸の周辺には、腸の細胞に酸素や栄養を運ぶ動脈が張り巡らされています。 この動脈に、動脈硬化や痙攣が起こると、抹消の血流が低下し、大腸は酸素不足に陥って、 粘膜に炎症を起こします。
そのため、加齢と共に動脈硬化が進んでくる高齢者に虚血性腸炎が多く見られます。 また、「高血圧、糖尿病、高脂血症(脂質異常症)、心臓病」など、 動脈硬化の危険因子を持っている人も、虚血性腸炎になりやすいといえます。

▼便秘が原因の場合
便秘で大腸の中に便やガスがたまって、大腸の中の圧力が上がると、 腸の中に張り巡らされている抹消の動脈が伸びて細くなり、血流が減少します。 すると、血液中の酸素不足によって、大腸の粘膜に炎症が起こります。 高齢者は便秘になりやすいので、やはり虚血性腸炎を招きやすくなります。 若い人でも便秘がちの人は、虚血性腸炎を起こしやすいともいえます。

●虚血性腸炎の診断

突然の激しい腹痛などが起きたら、消化器内科などを受診します。 問診では症状だけではなく、高血圧などの、虚血性腸炎が起こりやすい要因の有無などを確認します。 そのあと、「血液検査」で炎症や貧血の有無などを調べ、さらに、「大腸内視鏡検査」や「注腸造影エックス線検査」 で病変を確認してから、虚血性腸炎かどうかを確定診断します。


●虚血性腸炎の治療

虚血性腸炎と診断されたら、通常はすぐに入院治療を始めます。 入院中は1〜2日ほど絶食して、腸を安静に保ち、血流を改善させます。 それと並行して、点滴で水分や栄養を十分に補給します。 病気の程度により、外来で治療する場合と、入院して治療する場合とがあります。 一般に、2〜3日から1週間ほど点滴を続けると、血流が改善し、腹痛や炎症も治まります。
ただし、重症の場合は、手術が必要になることもあります。例えば、血流低下がひどくて炎症が強いために 大腸に孔が開いたり、潰瘍などによって大腸の一部が非常に狭くなったりしている場合は、 大腸の病変がある部位を切除し、その前後の大腸をつなぎ合わせる「大腸切除術」を行います。 大腸に孔が開いて「腹膜炎」を起こしているときは、緊急手術が必要です。