精力減退・男性機能の回復に『高麗人参の実』

高い血糖値を下げ合併症も防ぐと評判の『高麗人参の実』を摂ると、血流も男性ホルモンの分泌も促され、 糖尿病で真っ先に現れる精力減退によって衰えた男性機能が急回復する人が続出しています。 また、高麗人参の実は、女性の悩みをも解消するとして、人気になっています。


■高麗人参の実

有益な成分が根よりも多い

糖尿病の治療では、高い血糖値を下げるための食事制限や運動が基本になります。 ところが、医師の指示通りに食事制限や運動を実行しても、なかなか血糖値が下がらないという人が少なくありません。 そうした患者さんに一度試していただきたいのが、『高麗人参の実』です。 高麗人参は朝鮮半島・中国東北地方・シベリア東南海岸が原産地といわれるセリ科の植物で、 南天の実よりも一回り小さい赤色の果実をつけます。ちなみに、野菜のニンジンはウコギ科で、高麗人参とは全く別の植物です。

高麗人参といえば、滋養強壮や疲労回復などに優れた生薬として有名で、古来より漢方薬や民間療法に多用されてきました。 しかし、歴史的にみると、中国薬草書の古典『神農本草書』には糖尿病の治療に使われたことが記載され、 高麗人参の効用をまとめた『人参七効説』にも「生津止渇(体液を増やしてのどの渇きを潤す)」と記されています。 高麗人参は、最近まで根の部分だけが珍重され、実の部分は利用されてきませんでした。 ところが、大阪大学薬学部や(財)日本食品分析センターなどが高麗人参のみを分析した結果、 30種類以上のサポニン(植物に多い配糖体)類が含まれ、根に比べて含有量は約4倍、エキスにすると約5倍も多いことが わかりました。


●高麗人参の実の働き

高いものは下げ、低いものは上げる

高麗人参の実には、サポニン類のほかにも多種類のアミノ酸・ビタミンB群・ミネラルなど、きわめて多くの有益な成分が バランスよく凝縮されています。なかでも注目すべきは、豊富に含まれているサポニンの一つである 「ジンセノサイド」です。ジンセノサイドは分子構造や働きによって、Rbc系・Rgl系・Ro系の 3グループに分けられます。このうちRgl系には中枢神経を活性化する働きがあり、反対にRbc系には中枢神経の興奮を 鎮める働きがあります。 高麗人参の実には、Rgl系とRbc系のジンセノサイドがほぼ5対5の割合で含まれています。 言い換えれば、中枢神経を興奮させる働きと鎮める働きのバランスが非常によく摂れているのです。 生薬ではしばしば、高すぎるものは下げ、低すぎるものは上げて、正常な状態に持っていく力が発揮されます。 高麗人参の実は、相反する働きをするRgl系とRbc系のジンセノサイドを併せ持っており、両者のバランスがうまく調和することで、 体の異常を正す力が発揮されると考えられるのです。

富山医科薬科大学などの研究で、高麗人参のサポニンには血糖値を調節して正常にする働きのあることが解明されています。 高麗人参の実のサポニンは、膵臓のβ細胞に働きかけて、インスリンの働きを増強するのです。 併せて、カテコールアミン(インスリンに抵抗するホルモン)を抑制し、インスリンの働きを助けます。 高麗人参の実を使った臨床試験も行われ、その強力な働きが一層明確になりました。

中国吉林省の中医中薬研究所で、空腹時の血糖値が120ミリグラム以上(基準値は110ミリグラム)という高血糖の患者さん37人に 高麗人参の実を摂ってもらった結果、23人に血糖値の低下が認められ、そのうちの8人は60ミリグラムも下がっていました。 また、のどの渇きやだるさなど、糖尿病特有の症状も改善したことが報告されています。 国内の病院でも、糖尿病の患者さんに高麗人参の実を摂ってもらったところ、かなり高かった血糖値が150~160ミリグラムまで低下。 下がり過ぎによる低血糖も起こらなかったという報告があります。 同じ病院で、糖尿病の合併症として起こる糖尿病腎症などの病気で尿量が極端に減少し、人工透析を必要とする患者さんにも 高麗人参の実を摂ってもらいました。すると、明らかな尿量の増加が認められたことも報告されています。

糖尿病を放置して病状が進行すると、合併症を招きます。特に多いのは、糖尿病腎症・糖尿病網膜症・糖尿病神経障害で、 糖尿病の3大合併症と呼ばれています。糖尿病3大合併症の発症には共通点があり、動脈硬化や高血圧が深く関わっています。 ところが、愛媛大学などの研究で、高麗人参の実には、動脈硬化や高血圧の誘因となる中性脂肪やコレステロールを減らす 働きのあることが解明されました。そればかりかHDL(善玉)コレステロールとLDL(悪玉)コレステロールの比率を理想的な状態に 整える働き、言い換えれば動脈硬化が進みにくい状態にする働きまで認められたのです。

また、糖尿病で精力が減退することもよくあります。高麗人参の実は、こうした糖尿病による精力減退の改善にも役立つのです。


●高麗人参の実の強壮作用

優れた強壮作用が明らかになった

高麗人参の実は、血糖値を正常にする働き以外に、強壮作用にも優れていることが確かめられています。 元神戸大学医学部教授の石神襄次博士は、精子減少症の男性24人に高麗人参のエキスを摂ってもらいました。 その結果、17人で精子数が増加し、16人で精子の運動率が著しく増加したと報告しています。 この試験での、代表的な改善例を紹介しましょう。 29歳で不妊歴7年。性器の外的障害はなく、妻との性生活は正常。 この男性の精子数は、1ml中1500万個(正常な人は1ml中2000万個以上)でした。 高麗人参エキスを8週間摂ってもらったところ、精子数は4000万個まで増加し、精子の運動率も80%に上昇したのです。 同様の試験は、群馬大学でも行われました。大阪大学第3内科からは、高麗人参の実が糖尿病性のED(勃起不全)の改善に 有効とする報告が出ています。愛媛大学の吉村博士らは、ストレス性のEDに有効だと報告しています。

韓国でも、ウルサン大学のホング教授が、EDの患者さん45人を2グループに分けて、それぞれに高麗人参と偽薬を 16週間摂ってもらった後、両グループの勃起の程度を比較しました。 その結果、高麗人参グループは、硬度と持続力において、偽薬グループよりも優れていたと報告しています。 ホング教授の試験では、高麗人参グループの約60%の人に改善が見られたそうです。 この改善率は、勃起不全治療薬のバイアグラと同程度だと評価されています。
漢方の本場・中国でも、昔から経験的に伝えられてきた高麗人参の強精作用を確かめる研究が始まりました。 高麗人参エキスをマウスに与えて生殖能力の変化を調べたのです。すると、雄のマウスでは、睾丸の重量が増加して 精子を形成する能力が向上。雌のマウスでは、卵巣の発育が促進して活発に発情し、交尾期が延長したと報告されています。

高麗人参の実にこうした働きがあるのは、一つにはサポニンの一種であるジンセノサイドが男性ホルモンの分泌を促すため と考えられています。さらに、ジンセノサイドには、末梢血管を広げて血流を促す働きや、自律神経のバランスを 整える働きもあります。こうした作用が複合的に働いて、優れた強壮作用を促すのではないかと考えられているのです。 また、女性が高麗人参の実を摂れば、女性ホルモンの分泌が促進されるとされます。 もちろん、男性と同じく、自律神経のバランスが整えられ、血流も促されます。 その結果、更年期障害や冷え性・生理痛などの女性特有の症状の改善にも役立つと考えられます。