脳卒中の後遺症『痙縮』

・脳卒中発症後には、手足が突っ張る「痙縮」が現れることがある。
・日常生活に影響を及ぼす場合には、痙縮の状態にあった治療を受ける。
・近年登場した「ボツリヌス療法」では、より良い改善が得られている。


■手足の痙縮

運動神経の興奮により、筋肉が緊張しすぎて生じる

「脳卒中」では、脳が障害を受けた部位により、さまざまな後遺症が残ります。 代表的なのは、体の左右どちらかが麻痺して力が入らなくなる「片麻痺」、言葉が出てこなかったり、 ろれつが回らなくなる「言語障害」などです。特に多く見られるのが片麻痺ですが、片麻痺の起こっている手足には、 ”つっぱり”が生じることがあります。これを「痙縮」と呼びます。 痙縮は、筋肉が緊張しすぎているために、手足が動かしにくくなったり、本人の意思とは関係なく動いてしまう状態をいいます。 手の指を握りこんだまま開けなくなったり、肘が曲がったままの状態になったり、足先が足の裏側に向かって曲がってしまうなどの症状がよく見られます。

◆脳卒中発症後、数か月して現れる

片麻痺も痙縮も、筋肉の働きを司る運動神経が障害されることで起こります。脳卒中を発症し、脳から末梢の運動神経が 障害されることで起こります。脳卒中を発症し、脳から末梢の運動神経へとつながる伝達経路が障害を受けると、 運動に関わる脳からの信号が届かなくなるため、片麻痺が現れます。さらに、信号が届かない状態が数か月以上続くと、 運動神経が勝手に興奮するようになります。それによって、筋肉の緊張が更新するために痙縮が起こるのです。 そのため、痙縮は脳卒中の発症直後ではなく、しばらくたってから現れます。 脳卒中の発症から3ヶ月後に2割程度、12ヶ月後には4割程度の人に起こるとされています。 痙縮が生じ筋肉が過度に緊張している状態が続くと、筋肉が固まって関節の動きが制限されるようになり、 痛みが生じることもあります。そのため、痙縮があるかどうかを見逃さないことです。


●痙縮による影響

衛生面に問題が生じたり、激しい痛みが現れたりする

痙縮がある場合、患者さん本人にがつらいと感じるだけでなく、介護時の負担になるなど、家族や介護者にも影響が生じます。

◆痙縮によるおもな影響は4つある

▼介護時の負担
痙縮がある患者さんの家族などから最も多い相談は、介護時の負担が大きいということです。 痙縮がある患者さんを移動させたり、トイレを介護する際に、大きな労力が必要になるためです。

▼不衛生
例えば、手の指を握りこんでしまうため、手のひらを洗うことが難しくなり、「皮膚炎」などを起こすことがあります。

▼動作が困難
足に痙縮があるために歩行が困難になったり、肘が曲がったままになるために着替えが難しくなるなど、日常生活上の動作に支障を来します。

▼激しい痛み
痙縮が進行すると、筋肉の突っ張りが強くなって激しい痛みが起こることがあります。

このようなことから痙縮があると生活の質が低下することも少なくありません。 症状のために困難が生じている場合は、早めに治療を検討しましょう。