超睡眠法第1章『ピークシフトで脳をマネジメントする』⑤夕方

夕方①起床11時間後の眠気がサイン。
夕方②体温を上げる簡単エクササイズを実践。


■生体リズムがずれていると夕方眠くなる

◆朝6時に起きた場合、夕方6時に深部体温は最高潮

ヒトの体温には、体の表面の体温と、深部体温の2種類があります。表面体温が外界の状況に左右されるのに対し、 深部体温は、ほぼ一定のリズムで上下しています。これが深部体温リズムであり、起床から11時間後に最も高くなり、 22時間後に最も低くなる動きをします。例えば朝6時に起きたら、夕方の5時に最も高くなり、 午前4時に最も下がった状態になります。深部体温が高いと、ヒトは自然と活発に動けるようになります。 仕事でもハイパフォーマンスを発揮しやすい状態です。逆に深部体温が低いと動きが鈍くなり、仕事の進みも悪くなります。 徹夜作業で午前4時頃になると急にテンションが下がるのは、この深部体温のリズムの影響を受けているのです。 朝6時に起きた場合、午後2時ごろに睡眠-覚醒リズムの影響で眠気が襲ってきても、夕方5時にはまたやる気が増します。 しかし、朝6時に起きたにもかかわらず夕方に眠くなってしまう人は、生体リズムが2~3時間後ろにずれている可能性があります。


◆体温の上下を調節して、深部体温リズムを正常化

少し夜更かしをしてもずれにくい深部体温リズムですが、2~3時間の夜更かしが慢性的に続くと、さすがの深部体温リズムにも ずれが生じてきて、しかも元に戻すには相当な努力と時間を要します。 本来、夕方に深部体温が上がれば、夜の睡眠時に体温が下がり、ぐっすり眠ることができます。 ところが、リズムが後ろにずれると、体温が下がりきらないまま寝床に入ることになります。 これではなかなか寝付けず、それがストレスの元になる場合もあるので注意が必要です。 また、体温が下がっていくほど成長ホルモンはたくさん分泌されるのですが、深部体温リズムがずれてしまうと、 その波も鈍くなり、分泌量が減少してしまいます。成長ホルモンには新陳代謝を活発にして疲労を回復させ、 肉体を再生させる効果があります。分泌量が少ないと疲れが抜けきらないまま翌日を迎えてしまうので、 自分で体温を上げ下げすることで深部体温リズムを戻す努力をしていきましょう。

【5時から5時は理に適っている!?】

最新の研究によると、スポーツの記録は午後3~8時に出やすいことが明らかになっています。 朝に比べて夕方の方が、筋力や持久力が高まっているからです。「5時から5時」も、深部体温のリズムによって作られているのです。

【アンカースリープ(Anchor sleep)】

「Anchor」とは「碇」という意味で、基本的には自由に生活するが、生体リズムの重要な箇所だけはずらさない睡眠法。 例えば、午前6時に起床した場合、体温が最も高くなる起床11時間後(17時)は絶対に眠らず、逆に体温が最も低くなる22時間後(朝4時) は必ず眠ることで、体調不良を防ぎます。

【深部体温リズムがずれると・・・・・】

・体温が下がりきらないまま寝床に入るので、なかなか寝付けなくなる。
・成長ホルモンの分泌量が減少し、疲労回復が遅れる要因となる。
・一度ずれると、元に戻すのに相当な努力と時間を要する。


■起床から11時間後に姿勢を正す

◆夕方は疲れから姿勢が崩れがちに

一度ずれた深部体温リズムを元に戻すには、本来の体温リズムに合わせ、体を動かすなどして意図的に体温を上げ下げする 必要があります。散歩やジョギング、エクササイズなどをするのがベストですが、普通の会社員にとって、 夕方はまだ働いている時間帯です。そこで会社内でも気軽にできる、体温上昇のためのエクササイズを紹介します。 起床から11時間後は、深部体温が最も高まるタイミングではありますが、仕事の疲れも出てきて姿勢がつい崩れがちになります。 頬杖をついたり、足を組む人も少なくないでしょう。そこで5分ほど、椅子に座ったまま背筋を伸ばしてみましょう。 背中にはミトコンドリアが多く含まれ、持続的に安定して力を出す遅筋が集まっています。 遅筋は効率よくエネルギーを作るので、姿勢を正すだけでも、体温を上げる効果は十分にあるのです。

◆背筋を伸ばして体温をアップさせる

ここからは体温を上げるのに効果的な背筋の伸ばし方を、順を追って紹介していきます。

①肩を上げる
座ったまま、両肩を耳に付けるくらいまで上げます。

②両肩を目いっぱい後ろへ引く
普段の生活で前かがみになることが多く、お腹側の筋肉ばかりを使うため、自然と肩が前に出た姿勢になっています。 そこで肩をできるだけ背中側に引きましょう。

③力を抜いて肩を落とす
肩を後ろに引いた後、すとんと力を抜いて落とします。 これで、耳のちょうど真下に肩の骨が来ます。

④肩甲骨を肛門に向けて引き下げる
肩甲骨が正しい位置になったところで、今度は肛門をしっかり締めましょう。 尻に力を入れることで下腹部に自然と力が入り、座る姿勢も安定します。 肩甲骨を肛門に向けてグッと下げていきますが、実際に下がっていなくても大丈夫です。 下がっている感じがしていれば問題ありません。

この姿勢がとれたら、呼吸を止めないよう注意しつつ、5秒ほど数えた後、スッと力を抜きましょう。 これを5分間で何度も繰り返すことで、姿勢をよくする効果が出てきます。 また、時間帯に合わせた運動を下記で紹介します。

【3~5分という短い時間で体温を調節する】

運動は体温を上げるのに効果的ですが、平日はなかなかできないもの。 しかし、3~5分という短い時間で体温を調節する方法があります。 朝目覚めたとき、夕方、寝る前と、下記に紹介する運動を実行してください。

◎朝、目覚めたら
両手のグーパー、両足首の曲げ伸ばしを繰り返す
朝起きたら横になったまま、両手を閉じたり、開いたりしながら、両足首を曲げたり伸ばしたりする。 目安は5~10回。すると血液の循環がよくなり、体温も上がりやすくなる。

◎夕方の空いた時間に
背筋を伸ばして、肛門を締める
ミトコンドリアが使われる有酸素運動は起床11時間後がベスト。 ジムなどには行けないので、椅子に座ったまま背筋を伸ばし、肛門を締めて遅筋を動かすと体温が上がり、 やる気もパワーアップ。肩甲骨を下げる運動もプラスするとなおよい。

◎寝る前に
かかとを上げてつま先立ちする
夜に向けて水分は体の下に下がっていき、ふくらはぎのあたりにたまる。 そこで筋肉のポンプを使うべく、立った姿勢でかかとを上げてつま先立ちを繰り返し行い、 体内の水分や血流を正常に戻す。目安は上げ下げを5回。
お尻を上げて体を反転させる
寝る前にあおむけになり、膝を曲げてお尻を上げる。そして、お尻と膝を、体を横向きに立てるようにして、 左右交互にゆっくりと倒す。すると寝返りがしやすくなり、起きるときの体の痛みや、寝汗を防ぐことができる。