ココナッツオイル

ココナッツはヤシ科の単子葉植物、ココヤシの果実で、ココナツあるいは、単に椰子の実ともいいます。 果実は繊維質の厚い殻に包まれ、その中に固い殻に包まれた大きな種子があり、 種子の内部は大きな胚乳に占められ、周縁部の固形胚乳と中心部の液状胚乳に分かれます。 ココナッツオイルは、 ココヤシ果実の種子にあたる核果の中の胚乳を乾燥したもの(コプラと呼ばれる)から、 圧搾または溶剤抽出により原油が得られ、さらに精製工程を経て製品化されます。 脂肪酸構成はラウリン酸が50%弱、ミリスチン酸が15%~20%、パルミチン酸が10%弱と飽和脂肪酸が多いです。 ラウリン酸含有率が高いため、ラウリン系油脂と総称されます。 けん化価はいずれも250前後、ヨウ素価は7~11、不乾性油の性質を示します。 なお、アブラヤシの果肉を原料とするパーム油とは性質が大きく異なる点に注意を要します。 日本ではヤシ油・パーム核油あわせて年間約10万トンが消費されており、そのうち約6割が洗剤・石鹸などの工業原料として、4割が食用として用いられます。 水素添加によりココアバターの代用、また乳脂肪に性質が近いため、 ホイップクリームやコーヒーフレッシュ、ラクトアイスの原料などにも使われています。 中鎖脂肪酸含有率が高く消化・代謝され易いため、乳幼児食や病人食としても適しています。


●ココナッツオイルはダイエットに適した油

「ココナッツオイル」の主成分は中鎖脂肪酸という脂質です。 脂肪酸は、炭素が鎖のように連なっています。この長さによって「短鎖脂肪酸」「中鎖脂肪酸」「長鎖脂肪酸」に分類されているのです。 中鎖脂肪酸は炭素の数が長鎖脂肪酸より少なく、そのため長鎖脂肪酸の4倍の速さで吸収されます。 さらに、10倍の速さでエネルギーとして使われ、脂肪として蓄積されにくいのです。 ココナッツオイルがダイエットを助ける脂と言われるのはこのためです。 ダイエット目的の人は、食事で摂る油をココナッツオイルに変えてみるといいでしょう。


●脳のエネルギーになるココナッツオイル

加齢とともに記憶力や判断力は低下します。暴言や徘徊などが見られる アルツハイマー病の増加も問題になっています。 これらは脳の神経細胞が障害されて発症します。ふつう、脳の神経細胞のエネルギー源はブドウ糖ですが、 アルツハイマー病は、ブドウ糖をエネルギーに変換できなくなり、脳がエネルギー不足になって起こるのです。 ところが近年、「ケトン体」という成分も脳の神経細胞のエネルギー源になるとわかってきました。 ケトン体は「ココナッツオイル」の主成分、中鎖脂肪酸が肝臓で分解されてできます。 つまり、脳のエネルギー不足が原因となるアルツハイマー病は「ココナッツオイル」を摂ることで、改善できるというわけです。 認知障害の改善には1日大さじ1杯程度摂ると良いでしょう。