マスティック

胃癌を招く重大原因「ピロリ菌」の増殖を抑制したり、 胃潰瘍十二指腸潰瘍を防いだり、 胃痛・胃の不快感や食欲不振といった消化器官の不快症状を改善するとして、 欧州の薬木『マスティック』が注目されていますす。


■マスティック

世界の大学や病院が新研究の成果を報告

近年、胃潰瘍胃癌を引き起こす「ピロリ菌」に対して、強い抑制効果を示す植物が見つかり、注目されています。 それが、主にギリシャ領南部のキオス島で栽培されているウルシ科のマスティックノキから採れる樹脂「マスティック」です。 現地では、昔からマスティックを口に含んでガムのように噛んだり、スパイスとして料理に使ったりしてきました。 そして、ギリシャの伝承薬として、消化器系の病気や、 歯周病虫歯口臭予防などに用いられてきました。

このマスティックが最初に注目を浴びたのは、1998年、英国のバーネット総合病院とノッティンガム大学病院の 研究グループが「マスティックにはピロリ菌の除去作用がある」という試験結果を発表したのがきっかけでした。 また、それ以前にも、1986年にイラク・サラハジン医科大学の研究グループが、良性の胃潰瘍の人を対象に、 1gのマスティックを1日1回、4週間にわたって飲んでもらう試験を行っています。 その結果、1週間後には全員の不快症状が消え、4週間後にはほとんどの人に胃潰瘍の改善が見られました。 日本でも、静岡県立大学の研究グループが、胃癌・胃潰瘍や 十二指腸潰瘍 などの患者さんを対象に、マスティックの研究を行っています。 その結果、マスティックがピロリ菌の発育を阻止したり、除菌したりする作用を現すことが認められています。 そのほかの数々の試験でも、マスティックを摂ることで、 胃痛・胃の不快感や食欲不振といった消化器官の不快症状を改善する効果が得られることも報告されています。


●体に有害な菌だけを抑えると注目

マスティックの利点は、抗菌力を発揮する対象が、体に有害な細菌だけに狙い撃ち効果を現すことです。 例えば、腸の中には、体に有益な善玉菌と、体に害をもたらす悪玉菌が一緒になって棲んでいますが、 マスティックは善玉菌の働きにほとんど影響を及ぼさず、悪玉菌のみを抑える効力を発揮します。 マスティックは、欧州や中東では、医薬品のほか、菓子・アルコール・化粧品・塗料や石鹸などの材料に使われています。 近年では日本でも、虫歯や歯周病予防をうたったマスティック入りの歯磨き剤やガムなどの製品が出回るようになりました。 また、マスティック入りのサプリメントも市販されています。 これは、カプセル状のものを噛み、中身のエキスを飲むタイプです。 こうしたタイプならマスティックの有効成分が胃まで分解されずに完全に届き、ピロリ菌の抑制効果を高めることが期待できます。 胃の不調に悩んでいる人やピロリ菌が心配な人は試してみてはいかがでしょうか。